福西です。
『はてしない物語』(エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)の「22 エルフェンバイン塔の戦い」の前半まで読みました。
バスチアンはエルフェンバイン塔に着きます。けれどもモンデンキントはずっと昔から留守なのだと告げられます。
バスチアンは、モンデンキントに会いたい一方で、アウリンを取り上げられることを恐れています。その点ではほっとしたのですが、会えないとなると今度はそれを侮辱だと感じます。
心の渇を癒したくなったバスチアンは、無性にアトレーユと話がしたくなります。しかしこれまでアトレーユの忠告を「うんざりだ」と退けていたため、素直に会うことができません。
そこで、サイーデからプレゼントされたゲマルの帯のことを思い出します。
それは透明人間になる道具でした。これで驚かしてやろうと思い、アトレーユのテントに近づきます。すると、間が悪いことに、アトレーユとフッフールが話す「アウリンを取り上げる計画」を耳にしてしまいます。
バスチアンはアトレーユとフッフールを捕らえ、彼らを永遠に追放します。その後、サイーデの言葉しか信じられなくなります。
サイーデは、バスチアンに「帝王幼ごころの君」になることをそそのかします。
あらゆることが一つ一つ、みなバスチアンの好きなようになり、つくることも壊すことも思いのまま、なんの制限も条件もない世界。善悪、美醜、賢愚を問わず、すべての生きものがバスチアンの意思からのみ生まれつくられる世界。そこにバスチアンが超然と、神秘にみちて君臨し、すべてのものの運命を一手ににぎって永遠に動かしつづける……
──『はてしない物語』(エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)22 エルフェンバイン塔の戦い
バスチアンはそれに食指を動かします。次回は、バスチアンの帝王即位式です。