『ギリシャ語初級文法』A クラス便り(2020年3月)

山びこ通信2019年度号(2020年3月発行)より下記の記事を転載致します。

『ギリシャ語初級文法』A

担当 堀川 宏

このクラスでは昨年四月から、古典ギリシャ語の初級文法を学んできました。アルファベット(α, β, γ …)の読み方から始めて、名詞や動詞の語形変化(屈折)を中心に学習を進めています。はじめから文法の細則に眼を向けるのはよくないので、まずはこの言語を動かすしくみを大きく捉えることを目標にして、学んだ文法事項を練習課題で身につけるという方針をとっています。なかなか厄介な言語なので定着度はまだまだかと思いますが、練習を続けていれば少しずつできることが増えてきます。受講生は試しに四月頃の練習課題に再挑戦してみると、自身の成長を感じられるのではないかと思います。

受講生のなかにはSkypeを通して遠方から参加してくださっている方もいます。このような形での授業は私にとって初めての経験だったのですが、離れた場所からの授業参加ができることの持つ可能性について、しばしば考えながらの一年でした。古典ギリシャ語を学びたいと思っても、近くに教室があるとは限りません(ない方が多いかと思います)。それで入門書や教科書などを使って勉強することになりますが、進めてゆくといくつも疑問点が出てくるはずです(勉強とはそういうものです)。そういった疑問点は数が少ないうちは「そのうちに解決しよう」と思えるものですが、積み重なってゆくうちに「分からない」という感覚に繋がってゆきます。そのような状態にある方には、山の学校のSkype授業(註)を強くお勧めします。どんな些細なことでもよいのですが、ひとつの疑問が解決することが、学んでいる言語の見通しをよくします。ひとつの疑問解決は、次の疑問解決へと繋がります。そのような体験をできる場所が教室ですから、それがSkypeによって空間的な制約から解き放たれることに、大きな可能性を感じています。

今学期で文法をひと通り学び終えて、四月からは新たな講師のもと、基本文法を確認しながら平易な読み物を読んでゆくことになります。古典ギリシャ語がどのように言葉を連ねてゆく言語なのか、英語などとは異なる語順のしくみはどうなっているのかといった問題を、文章を読みながら考えてゆくことになるかと思います。関心を持たれる方は、ぜひお問い合わせください。

註:2020年4月からは、Skypeではなく、Zoomを使用しています。