浅野です。
今回は図らずも「答えだけでなく考え方を説明するような答案を作ること」という共通のテーマが浮かび上がりました。
頭を使う問題は次のような問題です。
1, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9の数字が書かれたカードが1枚ずつある。これらのカードを使って下の式が成り立つような組み合わせをすべて求めよ(考え方も書くこと)。
□□×0.□=□.□
これは難しいですね。Nさんはすごいことにすぐに取っ掛かりを見つけていました。かける数(0.□)に着目して、0.1のときはダメで0.3のときは…と順に考えるというやり方です。そして少しの間違いはあったものの、ほぼ完全な答えを出してくれました。
しかし惜しむらくは答案に答えしか書かれていなかったことです。私はそばで彼のやり方を見ていたので正しい手順で進んでいることがわかりましたが、この答案だけを見た人にはそれが伝わりません。答案を書くといっても恐れることはありません。Nさんは口頭では非常に論理的に説明できていたので、それを書き写せばよいだけです。
同時並行で中2のOさんには別の課題をしてもらっていました。まずここしばらく集中的に取り組んでいるおうぎ形についてのテストです。かなり惜しいところまでできてはいましたが、完全な答えにはたどり着けなかったので来週にもう一度テストをします。問題を解けなかった理由の一つは分数の方程式が解けなかったことだったのですが、それを本人も自覚してくれていたので、次回には分数の方程式の練習も盛り込みます。
次に文字式の簡単なおさらいをしてから、証明問題に取り組みました。「各位の数の和が3で割り切れる整数は3で割り切れる。このことを4ケタの整数について証明せよ」といったおなじみの問題です。
この問題の式変形のコツはどうやらつかんでくれたようです。文字式の証明は中1で習う範囲のなかで最難関だと言えるでしょう。そして中2の5, 6月にはその発展版の問題をするはずです。この時期に上記の問題が解けるようになることには大きな意味があります。ただ欲を言えば、式変形だけでなく言葉も使ってきれいな答案を作ってもらいたいです。
ここでちょうど中1の二人の道と中2のOさんの道が交わりました。自然と「答えだけでなく考え方を説明するような答案を作ること」をめぐってしばらく全員で話をすることになりました。大学入試の数学では学校によっては説明的な答案が求められることを3人に伝えると、みんな驚いた様子でした。Tさんはこのことに関して、「論理パズル」をしようと提案してくれました。「論理パズル」とは次のようなものです。
「うそつき村」と「正直村」がある。「うそつき村」の人は必ずうそを言い、「正直村」の人は必ず本当のことを言う。
旅人が村にたどり着いた。その村は「うそつき村」か「正直村」のどちらかである。さて旅人は、その村の住人にたった1つだけ質問をして、「うそつき村」か「正直村」かを言い当てねばならない。何と質問すればよいか?
A、B、Cの3人がいる。じつは「神様」「悪魔」「人間」が1人ずつだ。「神様」は必ず本当のことを言い、「悪魔」は必ずうそをつく。「人間」は本当とうそを適当に使い分ける。
3人のコメントはこうだ。
A「私は神様ではない」
B「私は悪魔ではない」
C「私は人間ではない」
さて、A、B、Cはそれぞれ誰か?
Tさんは小学生のときからこの手の問題には慣れているようで、すごい勢いで答案を作成していました。完成したものを見せてもらうとさすがだと感じました。Oさんは一生懸命自分の頭で考えて、一つの答えを出して答案にしてくれました。Nさんはこの問題を見たことはあるけれども、そこでは考え方を書く欄はなかったと言いながら試行錯誤していました。
これからは読んでわかりやすい答案を作るということも意識してもらえるとよいです。