浅野です。
昨年度から引き続き高3のKさんと高2のCさんです。二人とも微分・積分の世界へと深く入っていくところです。
今回は導関数の定義について詳しく見ていきました。最初に一次関数の傾き(y=ax+bの”a”)についておさらいをします。この傾きはyの増加量/xの増加量で求めることができました。
上の図で直線PQの傾きを求めるとf(a+h)-f(a)/(a+h)-(a)⇔f(a+h)-f(a)/hとなります。このhを0に近づけるとこのグラフ上の点(a, f(a))における接線が求まります。この式のままでhを0にすると0/0になってしまうので、うまく計算をしてhで約分をしてから0に近づけます。
これから微分可能性の探ったり、様々な関数の微分を考えますが、この定義がとにかく重要です。すべてここから出発します。
Cさんは積分とはそもそも何なのかというところに引っかかりを覚えていました。ここでは私なりの理解を示します。
積分とは面積を表すために開発されました。これが積分のそもそもの出発点だと考えるとわかりやすいです。
の図のような面積を表すために
という記号を用いると決めました。
このように記号を定めることができても、具体的な計算方法はわかりません。わからないけれどもある基準点(x0)からxまでの面積を表す関数をS(x)と置きましょう。上図の水色の部分です。S(x+⊿x)は水色と緑を足し合わせた面積になります。よってS(x+⊿x)-s(x)で緑の部分だけを表すことができます。
次はその緑の部分の面積について考えます。うすい緑と濃い緑の部分の面積がちょうど等しくなるような点f(t)を定めると、求める面積は縦がf(t)、横が⊿xの長方形の面積と等しくなります。つまりf(t)×⊿xです。
ここからは天下り的になりますがしばらく我慢してついてきてください。⊿x→0のS(x+⊿x)-s(x)/⊿x=⊿x→0のf(t)×⊿x(緑の部分の面積)/⊿x=⊿x→0のf(t)となります。先ほどの図より、⊿x→0のときf(t)→f(x)なので、⊿x→0のf(t)=f(x)となります。何がしたかったのかというと、よくわからないS(x)という関数を微分したらf(x)になることを示したかったのです。これで面積を求める積分の計算方法がわかりました。微分とは逆の操作をすればよいわけです(大抵の教科書では積分の計算方法を練習してから面積の話をするから混乱するのです。理屈からすると順序は逆です)。
さて、今度は別の考え方で面積を求めてみましょう。いわゆる区分求積法です。ここで説明してもよいのですが、面倒なので興味のある方は参考サイトを読んでください。ここでのポイントとしては、区分求積法を用いると、よくわからない数列の極限を積分の計算(微分の逆)をすることで求めることができるようになります。
もう一度これまでの話をおさらいしておきましょう。積分とはそもそも面積を求めるために編み出されたもので、インテグラルという記号を使って表すと決めました。実はそれが微分の逆の操作になっています。そして面積は数列の極限の形で表すこともできます。
これですっきりしたはずですから、あとは安心して計算や問題演習に励んでください。
一つのエントリーをここまで丁寧に書いてくださることにあらためて敬意を表します。今すぐに理解できないとしても、ぜひ浅野先生のコメントには目を通していただきたいと、と生徒のみなさんに呼びかけたいです。(もうすでに多くの人がごらんくださっている?)
また、日常芽生えたいろいろな疑問のつぶやきも、大切な学びのきっかけになります。ぜひ、メモをして、先生に質問する習慣を身に着けてください。万一浅野先生がわからないと思われても、山の学校にはそれぞれの分野に長じておられる先生がてぐすねをひいて待っています。サポート体制はばっちりです。