浅野です。
Kさんは春休み中に学校の宿題を活用してこれまでに習った範囲の復習をする予定です。指数・対数、微分あたりは順調に進んでいるとのことです。分数関数が自分でやろうとしてもよくわからなかったので今日はその範囲をしたいとの申し出でした。
分数関数を考えるにはまず反比例を思い出す必要があります。グラフは一般的にxとyの関係を示す表を作って、その座標を滑らかに結べばよいという関数の本質をすでに理解してくれていたので、話はスムーズに進みました。次に二次関数のところでした平行移動を思い出す必要があります。これも復習が行き届いていたために難なくクリアしました。
それではこれらを組み合わせると…と説明を始めたらすぐに理解してくれました。これが前回の記事で書いた「このように復習をきちんとしていると新しい事柄を学ぶのが加速度的に楽になっていきます」という状態です。もっとも前回の時にはこんなに早くそれを実感できるとは予想していませんでしたが。
本質が理解できたらあとはちょっとした応用です。これも二次関数を習ったときにしたことを繰り返すようなものです。今回は非常にスムーズに進み、1回で分数関数の応用まで終えることができました。
これで春期講習は終わりですが、4月の初めには自習時間を設ける予定です。そのときまでに今回のように問題意識をはっきりさせておくとよいです。
>問題意識をはっきりさせておく
日々机に向かって何をするのか?というと、この「問題意識をはっきりさせる」ため、と言えるかもしれません。そんなに構えなくても、ひたすら勉強していると、結果的に「問題意識がはっきりしてくる」とも言えます。これがはっきりしてくるまで勉強せよ、ということも言えます。みなさんは、数学の問題を解いたとき、問題の番号に○とか×とか印をつけていますか?私は徹底的につけました(笑)。私の場合、一度でできたら×、できないもの、答えを見て「理解した」ものにも○をつけました。それは「もう一度挑戦する」という意味でした。日を置いてもう一度○印のものばかり集中してチャレンジします。それでできたら、○の上から×をつけます。こうして○ば×に全部変わるまでやり続けます。試験前までに、です。試験数日前から、いちど○のついた「前科」のある問題をもう一度おさらいします。教科書だけで大丈夫か?という不安を持つ人は多いのですが、まず、教科書なら完璧、といえる状態を作ってから悩みましょう(笑)。
補足です。たぶん、○をどうやれば×にできるか?というのが本質的な悩みにあたると思います。特効薬はありません。むしろ、「どうすればうまくいくのか?」、「なぜ、このような解答になるのだろう?」と心の中で自問自答するプロセスで脳みそが一番鍛えられます。けっして「自分はだめだ」とか、「やってもできない」とネガティブに構えないことです。
スポーツでも筋肉トレーニングを当たり前のようにします。自分で脳みそを鍛えないまま、先に答えを見たり、先生の説明をBGMのように聞いていてはトレーニングしたことになりません。極論すると、予習の段階で解けたとか、解けないということが一番大事なのではありません。説明やヒントや解答を見聞きする前に、とことん「わからん、むずかしすぎる」と体中で感じる経験をしたかどうか、がポイントです。
その段階で、先生の説明を聞いて「あ、わかった!」と実感できると、たぶん数学はやみつきになります。
蛇足ですが、小学生のクラスでなぜパズルなのか?なぜ迷路なのか?なぜ間違い探しなのか?と言いますと、このいわゆる「アハ効果」を経験し、粘り強い脳みそを鍛えるためでもあります。
>教科書だけで大丈夫か?という不安を持つ人は多いのですが
そういえば自分が中高生のときは教科書(と学校で配られるちょっとした問題集)だけで勉強していました。数学は教科書だけでも本質を理解すれば何とかなります。解法を暗記するというやり方もあり、確かにそれでも定期テストくらいなら対応できるようですが、長期的に見ると遠回りだと思います。そして何よりこのやり方だとおもしろくありません。
>説明やヒントや解答を見聞きする前に、とことん「わからん、むずかしすぎる」と体中で感じる経験をしたかどうか、がポイントです。
付け加えるなら、解答を見聞きしてもわからないと感じることは多々あると思いますが、そのときには解答のどの行までわかるか、あるいはどの行からわかるかをはっきりさせることをおすすめします。ここまでしておくと、何日か経った後でふとわかるという瞬間が訪れることがしばしばあります。これを繰り返すと「やみつき」になりますね。
>小学生のクラスでなぜパズルなのか?なぜ迷路なのか?なぜ間違い探しなのか?と言いますと、このいわゆる「アハ効果」を経験し、粘り強い脳みそを鍛えるためでもあります。
私事ですが最近ホームページを作る機会があり、パズルや数学と同じ脳みそを使っているように感じました。うまく表示されないときはコードを一行ずつ理解して、わからない部分をはっきりさせていくと解決したという「アハ効果」を何度も経験したからです。漠然とホームページ作成の解説書を読むよりも、問題意識をはっきりさせて自分の頭で考えるほうがうまくいくように個人的には思います。また、この冬学期にラテン語初級文法を受講させていただいていたのですが、ラテン語の文を和訳するときにも同じような頭の使い方をしました。「粘り強い脳みそ」は年齢や表面的な学問分野を問わず重要になるようです。
>ラテン語の文を和訳するときにも同じような頭の使い方をしました。
同感です。なぜラテン語?とよくたずねられますが、「頭の体操」と答えることもできますね。