福西です。
『黒ねこサンゴロウ3 やまねこの島』(竹下文子、偕成社)の6章と7章を読みました。
今回は受講生のS君が6章を、T君が7章をそれぞれ音読してくれました。
往診に出たナギヒコは、島の生活が極度に閉鎖的であることに気付きます。島には「おきて」があり、外部との接触を断っている様子でした。サンゴロウとナギヒコは、自分たちが島に入れたのは、彼らを呼んだクルミが村長の親戚で、村長が特例を出したからだと知ります。
夜、サンゴロウたちの泊まる診療所で、騒動が起こります。村人たちが詰めかけて、何事かをクルミに訴えているようでした。ナギヒコが出ていこうとしますが、サンゴロウに止められます。「ここの問題は、ここの連中にまかせておくんだ」と。騒ぎはじきにおさまりますが、ナギヒコは、「おまえはただの医者で、おれはただの船乗りだ」とサンゴロウから言われたことに、浮かない顔をします。
次回の音読は、Fちゃんからスタートです。
受講生のK君が俳句を作ってきてくれました。うち2句紹介します。
まんぼうやくちがはれてるだいじょうぶ Kouta
まんぼうのなんこつはれるゆうてます Kouta
1句目。詩的な「切れ」があります。初句の「や」よりもむしろ、中七と下五とのあいだに、すばらしい間(ま)があります。くちがはれてる/だいじょうぶ。この飛躍での切れが、一句を深くしています。「まんぼうのくちがはれてるけれどきっとだいじょうぶだよ」という説明ではないことに注意です。俳句は長くないのです。五七五という小さい器だからこそ「だいじょうぶ」という飛躍を許容します。代わりに、「切れ」が説明以上のことを読者に伝えます。俳句が短いことのよさが、十分に引き出されている一句だと思いました。
2句目。「まんぼう」「なんこつ」のリズム、「ゆうてます」という肩の力を抜いた口語。まんぼうにふさわしく、言葉がたゆたっていて、心地よいです。
なお、まんぼうが夏の季語。
次の作品も、楽しみにしています。