福西です。
『はてしない物語』(エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)の『Ⅶ 静寂の声』『Ⅷ 妖怪の国で』を読みました。
アトレーユがウユララと会話し、幼なごころの君に名前を与えられる存在について聞き出します。それは人の子(人間の子供)で、ファンタージエン国の外国(とつくに)に住んでいるとのことでした。
外国(とつくに)とは、「本」(はてしない物語)の外の世界、バスチアンのいる現実世界のことです。
アトレーユの使命は、幼なごころの君の病の治し方を調べてくることで、治すことではありません。フッフールもそのように忠告するのですが、アトレーユはしかし、人の子を連れて幼なごころの君のもとへ帰ろうとします。
アトレーユは、フッフールに乗り、ファンタージエンの外側に抜けようとします。しかし東西南北から吹き寄せる人格化された嵐に遭遇し、「ファンタージエンに果てはない」ということを聞き知ります。
アトレーユは嵐のけんかに巻き込まれ、フッフールから墜落します。そしてアウリンを失くしてしまいます!
一人ぼっちになったアトレーユ(このとき、受講生たちは「アルタクスをなくしたときみたい」と言っていました)。彼の前を、妖怪たちの行列が通り過ぎます。行くあてのないアトレーユもまた後ろについていきます。すると、妖怪たちは、虚無の中へつぎつぎと飛び込んでいくのでした。アトレーユは必死にその誘惑に打ち勝ち、難を逃れます。
次回は『Ⅸ 化け物の町』です。アトレーユをずっと付け狙っていた虚無の存在が、彼の前に姿を現します。
受講生のMちゃんが、ユニークな質問をしてくれました。
「バスチアンの持っている本には、バスチアンのことが書かれているのかな?」
「バスチアンは、赤い字で書かれたところがない、緑の字だけの本を持っているのかな?」
と。
受講生のFちゃんはそれを受けて、
「もしかしたらバスチアンの持っている本には、バスチアンという名前が別の名前になっていて、それをバスチアンは読んでいるのかもしれない」
と対話していました。
その「謎」をずっと持ち続けてほしいな、と私は思いました。たぶん答のない、はてしないテーマだと思います。
受講生たちは、要約にすこしずつ慣れてきた様子です。Mちゃんは1ページずつ振り返りながらの物語のつなぎ直し、Fちゃんは箇条書きがスタイルになりつつあります。