福西です。
ウェルギリウス『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、西洋古典叢書)を読んでいます。
2巻の61~107行目を読みました。
シノーンはトロイア人に対し、「私はギリシャ人だ」という真実を混ぜて、巧みに嘘を語ります。
「私をもし殺せば、ギリシャ人たちは喜ぶでしょう」と。
最初は情報を聞き出そうとだけ考えていたトロイア人も、次第に彼の身の上に同情していきます。
次回読む内容と重なりますが、シノーンの語り出しは以下の通りです。
「ギリシャ軍が撤退を決めた時、嵐が生じた。神託を聞くと、『来た時同様にアルゴス人の命を捧げよ』と。予言者カルカースは、アルゴス人とは私(シノーン)のことだと解釈した。しかしこの予言者はウリクセースと結託していた。ウリクセースは私を憎んでいた。というのも、私はパラメーデスの部下だったから。パラメーデスを謀殺したウリクセースに帰国後の復讐を誓っていた。だから、ウリクセースは私を帰国させないように謀ったのだ。私は犠牲となることから逃げだした。賞金もかけられていよう。神かけてうそではない、憐れんでほしい」と。
これに対して、プリアモスはどう返答するでしょうか。それが次回の内容になります。
【中学・高校生のみなさんへ】
今年の1月から読み始めた『アエネーイス』。学校の歴史の教科書にはよく、
「ウェルギリスは『牧歌』『農耕詩』『アエネーイス』を書いた」
とだけあります。
『牧歌』には理想郷とも訳されるアルカディアのことが、『農耕詩』には「後ろを振り向いてはならない」という約束で知られる、あの世から妻を連れ帰ろうとしたオルペウスのことが書かれています。読めば、「あの話はこれがもとだったんだ」と得心が行くだろうと思います。それと同じ作者による叙事詩『アエネーイス』。どんなことが書かれているのか、その中身を味わってみませんか。
中学・高校生の方のご参加をお待ちしています。