福西です。
『西遊記(中)』(渡辺仙州翻案、偕成社)の「十五 金角・銀角」を読み終えました。
紙芝居やテレビで流布している話とはだいぶ異なり、新鮮味を覚えました。
名前を呼ぶと吸い込まれるひょうたんがあります。それを、仙人にばけた悟空が、「天を吸い込む」と触れ込んだ大きなひょうたんと交換してまんまと手に入れるくだりが意外でした。
また、金角と銀角の義理の母(九尾の狐)が出てきたり、金角と銀角の正体が、太上老君のところから数々のアイテムを持ち逃げした童子であることを知りました。
筋は結構複雑でした。
1)三蔵一行のうち、悟空以外が金角・銀角につかまる。
2)悟空は銀角の術で、三つの大山を体に乗せられる。
3)悟空は平気で山から這い出し、仙人に化ける。とどめをさしにきた銀角の部下をだまして、大きなひょうたんと件の魔法のひょうたんとを交換する。(その際、天界のナタ(以前登場)に手伝ってもらう)。部下の持ち帰ったひょうたんに金角らも喜ぶが、だまされたと知って怒る。
4)金角らは、義理の母である九尾の狐の力を借りようと、部下を派遣する。悟空はその部下をまただまして先回りする。九尾の狐を殺し、魔法の縄を奪う。
5)悟空は縄の使い方を九尾の狐から聞き出さなかったので、逆に縄で捕まる。術を駆使して縄から抜け出す。(このときひょうたんは金角らに戻る)
6)悟空はひょうたん相手に偽名を使うが、ただ返事をしただけでも効力を発揮するという誤算で捕まる。
7)悟空はひょうたんの中で、上半身だけの自分の偽物を用意し、虻に化けて叫ぶ。銀角が気になって中をのぞきこんだすきに、ひょうたんの口から外に抜け出す。
8)悟空は金角らが宴会をしているうちに、ひょうたんを偽のひょうたんとすりかえる。
9)悟空は互いの名を呼び合い、銀角をひょうたんに閉じ込める。
10)七星剣をふるう金角との戦闘。そこで太上老君の仲裁が入り、和解する。
11)三蔵らが助けられ、旅が続く。
受講生たちの感想では、以前の悟空だったら力技で押したはずなのに、それがなくなってきたということでした。
残りの時間は、上巻からこれまでの内容をふりかえりました。