「図形のお話」を読む(かず5~6年A、2019/6/12)(その2)

福西です。Aちゃんの質問の続きです。

2)エラトステネスの篩(ふるい)

Aちゃんが、

「他の方法で表せたら、それは素数ではない」

という自分の言葉で、素数について納得してくれました。

Aちゃんの言う「方法」とは、かけ算のことです。

素数は、2、3、5、7などですが、これらは

2=1×2

3=1×3

5=1×5

7=1×7

と、「1×自分自身」のかけ算でしか表すことができません。(分解できません)

一方、4、6、8、9などは、

4=2×2

6=3×2

8=4×2

9=3×3

と、「1×自分自身」以外の方法で表すことができます。

Aちゃんは、この場合を、「素数ではない」と呼ぶことに合点がいきました。

2は1×2なので、素数とみなします。

素数は、2は特別ですが、それ以外はみな奇数です。(3、5、7、11、13、17…)

偶数は、「〇×2」と表せるからです。

個数的には、

自然数>奇数>素数

となります。

さて、「任意の数までの素数の個数」を調べたいとき、どうするでしょうか?

ある程度なら、自力でできます。

「10までの素数の個数は?」

2、3、5、7 →4個

「20までの素数の個数は?」

(上に加えて)11、13、17、19 →8個

ここまで来て、

「30までの素数の個数は?」

には、12個と答えたくなるかもしれません。

ところが、

(上に加えて)23、29 →10個

となります。

このように、素数の個数は、不規則です。

さて、「50までのは?」「100までのは?」

というとき、どうしたらいいでしょうか。

それにこたえてくれる方法の一つが、エラトステネスのふるいです。

エラトステネスのふるいとは、倍数を順番に消していく(ふるいにかける)方法です。

・1を消します。

・2の倍数=偶数を消します。これでほとんど半分が消えます。(2だけ残します)

・3の倍数=3の段とその延長の数を消します。(3だけ残す)

・4の倍数は考える必要がありません。2の倍数の時に全滅したからです。

・5の倍数=1の位が0と5のものを消します。(5だけ残す)

・6の倍数は考える必要がありません。(なぜでしょうか?)

・7の倍数を消します。(7だけ残す)

さて、いつまでこれを続ければいいのでしょうか?

「100までの素数の個数」という設問に対しては、99の倍数まででしょうか?

それでは、しんどそうです。

実は、どこでストップするかも、エラトステネスの方法は教えてくれます。

100=10×10(同じ数で分解)

より、「10の倍数でストップしてよい」と。

なぜなら、10の倍数を超えた数は、

11×〇

13×△

17×□

などと表せますが、相棒の〇、△、□は、10よりも小さい数のはずです。

つまり、〇の倍数、△の倍数を消すことは実行済み。

ということで、これ以上考えなくていいのです。

この「ストップする数」は、2数のシーソーをイメージするといいと思います。

「50までの~」なら、

50≒7.1×7.1なので、7の倍数まで、

「500までの~」なら、

500≒22.4×22.4なので、22の倍数まで

となります。

エラトステネスのふるいを実行した結果、100までの素数は、25個ありました。

ところで、「~までの素数は何個?」を求める式は、現在発見されていません。

数学における最大の関心事の一つとされています。

その「概数」を求める方法を、ガウス(1777-1855)というナポレオンと同じ時代に生きた人が発見したことを話しました。

そのガウスは、自分では素数や星の研究をしたかったのですが、時の権力者であるナポレオンからは、丸い地球に貼りついた土地の面積を測る研究を命じられました。

その面積のことが、テキスト『図形のお話』でこれから読むところです。