福西です。
『西遊記(中)』(渡辺仙州翻案、偕成社)の「十四 黄袍怪」(p127-142)を読みました。
八戒は、花果山にいる悟空を説得します。なんとか悟空がへそを曲げないようにと気をもみます。けれども悟空は、三蔵のピンチを知るなり、「なぜそれを早く言わないんだ」と花果山を飛び出します。
悟空は百花羞に化けて黄袍怪を待ち伏せし、力の源である金丹を盗みます。そして黄袍怪と戦います。ところが悟空が優勢になったところで、天界から待ったがかかります。二十八星宿の二十七人がぞろぞろと現れたのでした。
黄袍怪と百花羞との縁起が語られます。黄袍怪の正体は星宿の一人で、天上から地上に転生した百花羞を追ってきたのだと。その身を妖魔にやつしてまで。道理で強いわけです。黄袍怪は、けっきょく百花羞のことをあきらめ、星宿として天界に帰っていきます。
黄袍怪の金丹の力で虎に変えられた三蔵は、また元の姿に戻ります。
「お師匠様、ご無事でなによりです」
悟空は破門された身をわきまえ、花果山に戻ろうとします。
そこでとっさに、三蔵が詫びをいれます。
「悟空。わたしはそなたをうたがい、破門してしまった。だが、そなたは、うそをついてはいませんでした。わたしをまもるために、禁箍呪(きんこじゅ)をとなえられたにもかかわらず、たたかってくれました。もう一度、旅についてきてくれなどといえる立場ではないことは、よくわかっています。しかしせめて、そなたが去る前に、あやまりたい。」
と。三蔵がひざまずこうとすると、悟空は言います。
「お師匠さまがよいのでしたら、どうかこのおれを、また弟子にしてください。」
と。
すがすがしい一件落着のあと、また旅が続いていきます。
次回は、有名どころの「十五 金角・銀角」ですが、今回の黄袍怪の章のような、有名どころ以外をはさんで読めるのが、通読のよさだと思います。
残りの時間は、「十二」と「十三」の要約をしました。