岸本です。
前回までに、アメリカと、ソ連をはじめとする社会主義圏の80年代から現在までの歴史を見てきました。
冷戦の両陣営とは別に独自の道をとった第三世界のその後を、今日は見ていきました。
中東では、アラブ世界とイスラエルとの紛争が何度か繰り返されました。
アラブ世界の中心であったエジプトは、その戦争を主導してきましたが、サダト大統領は1979年にイスラエルと平和条約を結びました。
生徒さんは、このエジプトの方針転換について、疑問を持ちました。
このエジプトとイスラエルの交渉が、アメリカによって仲介されたものであることは、生徒さんの疑問を解決するヒントではないでしょうか。
イスラエルとアメリカの同盟関係を考えれば、これはエジプト側の接近といえます。
エジプトが昨年まで長期的な独裁政権を維持できたことに、このアメリカとの良好な関係が大きく寄与していたことからは、その長期政権の功罪は置いておくとしても、その判断の理由は政権の安定にあると考えられます。
そのエジプトが抜けたアラブ世界では、イラン、イラクがそれぞれ違う方法によりますが、台頭していきます。
一方で、アジアでは、開発独裁や軍事政権の後退が見られました。
韓国やインドネシア、フィリピンがその例となるでしょう。
生徒さんは、特に民主化した東南アジアや南アジアに、女性の指導者が多いことに気がついてくれました。
そのような特徴をどう位置づけるかは、宗教や民族に共通性はないため、簡単な問題ではありませんが、面白い視点だったと思います。
中南米でも民主化が進みますが、この地域では、冷戦中の左翼政権成立に対しては、アメリカが介入するという特徴が見られました。
来週は、残る第三世界のアフリカを見たあと、現代世界で生じている地域紛争の様子を見ていきたいと思います。