福西です。新しいクラスです。よろしくお願いいたします。
クラス名は「西洋の児童文学を読むA」ですが、Bクラスもあるので、ブログでは、本の名前で区別することにします。
『はてしない物語』(エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)の第1章「ファンタージエンの危機」を半分読みました。(p25~36)
バスチアンの読んでいる本の中(ファンタージエン)が舞台です。
鬼火、豆小人、夜魔、岩喰い男がハウレの森で出会います。
鬼火は空を飛び、豆小人はカタツムリに、夜魔はコウモリに、岩喰い男は岩の自転車に乗っています。
鬼火は、ファンタージエン全体を治める女王「幼なごころの君」(モンデンキント)のところへ向かう使節だと話します。というのも、自分の住んでいる地域が「虚無」という不思議な現象に襲われているからだ、と。
すると、他の者たちも、まったく同じ理由で女王のもとへ向かう途中だ、と言います。
それではご一緒しましょう、とはなりませんでした。ファンタージエンの住人らしく、あるがままに自己主張し、「だれが一番先に着くか、見ものだな」と別ルートを行くことになりました。
そこで、バスチアンは現実の世界に引き戻されます。
近くの塔の時計が九時を打った。
ここまで音読しました。
鬼火の登場から、作者のひねりが入っています。鬼火は人を迷わすのがなりわいですが、彼自身が道に迷っているからです。それぐらい急いでいたわけですが、その鬼火の出会った三者がまた個性的です。それぞれのしゃべる際のくせを、音読でしみじみと味わいました。また、虚無の描写に引き込まれました。
先週、「できれば」と言っていた語句調べを、受講生たちは完璧にやってきてくれていました。
それを一つずつ確認しました。
「途方もない」と「途方に暮れる」という言葉が偶然テキストにあり、Fちゃんは「途方」の違いを面白いと感じたようでした。
来週は続きを読みます。
この日で、ペースがだいたいつかめました。2週で1章を読んでいきましょう。
スローであればあるほど、味読の価値が増します。
どんな本でもそれが可能かというと、必ずしもそうではないと思います。テキストにそれを許す力があるかどうか。その意味で、『はてしない物語』は懐の深い作品だと、受講生の反応を通じて、あらためて実感します。