福西です。
先週はさいころを使って確率っぽいことをしましたが、今回もまたそれにちなんで、「ランダムウォーク」という実験をしました。算数で実験というと、なんだか妙な気がしますけど、同じことを何度も繰り返すうちに、一つの法則を見つける、ということをしました。
(今回の主役は、偶数と奇数です)
まず、偶数と奇数の確認をしました。特に1年生には、はじめての概念なので、時間をかけて説明しました。それでもきっと、また忘れてしまうことがあると思いますので、その都度説明しようと思います。
イメージとしては、おかしを二人で分け合う時が一番分かりやすいかと思います。偶数とは、「半分こにできる数」のことです。一方、奇数とは、「1個をお母さんに返す数」のことです。そして偶数は、2、4、6、8、10…とあらわれ、奇数はそれに1個ずれた数としてあらわれます。つまり、1、3、5、7、9…です。
また、1、2、3、4、5…では、奇数、偶数、奇数、偶数…と、交代ごうたいに現れることが確認できます。これが、理解の助けとなります。つまり、「101は偶数か奇数か?」とたずねられたとき、100が偶数であることを知っていれば、「次は奇数の順番」なので、101は奇数と分かります。
次に、1の位に注目すればよいことを確認しました。たとえば偶数を丁寧に書き出すと、2、4、6、8、10の次は、12、14、16、18、20、となります。ここで1の位に注目すると、2、4、6、8、0(10)が繰り返していることに気付きます。さらに22、24、26、28、30・・・でも、繰り返しに変化はありません。
そして、この1の位に使われている2、4、6、8、0は、「偶数」でした。つまり、「1の位が偶数であれば、それはどんなに大きな数であっても、偶数」だと分かります。同様に、奇数もまた、「1の位が奇数であれば、どんなに大きな数であっても、奇数」になります。
Sちゃんがさすが2年生ということもあって、この1の位での判定法が「便利だ」ということに、とっさに気が付いてくれたようです。そして理解してくれて、となりでH君が言い間違ったときにも、「だってな…」と、よくその理由を説明してくれていました。
分かってしまえば、当たり前になってしまう知識なのですが、それでも最初のうちは間違えて当然です。また、偶数、奇数という呼び名自体にも慣れてもらう必要があります。そこで、何度もたずねては奇数、偶数のイメージを修正してもらいました。そのうちに、だんだん迷う時間が少なくなってきて、「10002は?」とたずねると、「偶数!」とすぐに答が返ってくるようになりました。「では、10003は?」とたずねると、一瞬迷った後、「奇数!」と返ってくるようにも。先ほどの「偶数の次」が奇数だからです。もちろん、ここで「1の位が1、3、5、7、9なら、奇数」という理解でもいいです。あるいは、「偶数でなければ奇数」という理解もありです。「偶数か奇数か」という判別には、このように何通りかあって、そのうち自分がぱっと思いついた「近い方法」を選べるようになれば、たいしたものです。
さて、その奇数、偶数を使って、次のようなことをしました。
問い
6面のさいころを1個振ります。奇数が出れば、左に1歩。偶数が出れば右に1歩。そのようにして、10回振った時に立ち止まる場所を記録してください。
イメージとしては、酔っ払いの人が、家に帰りたいのに、あっちにふらふら、こっちにふらふらする感じです。そして少しゲーム性を持たせるために、左端か右端をその人の家として、たどりついたら「やった!」ということにしました。ただし、さいころを振る回数は、10回までです。そして、一度家入っても、(回数が残っていれば)また出て行ってしまうこともありえます(笑)
こうやって、たどりつかなかった人も含めて、どんどん記録していきました。
そして、1回1回振るのが大変になってきたところで、「10個のさいころを一度に振る」方法を提案しました。
要するに、途中経過は関係なく、左に何回、右に何回進んだかの「差」が分かれば、記録としては十分です。しかも、その時に使うさいころは、なにも6面である必要はありません。奇数と偶数が公平に出ればいいので、色々なさいころを代用しても、同じことになります。
なので、次のように一度に止まった場所を判定することができます。
まずじゃらじゃらと振って、そのうち、奇数と偶数をより分けます。写真では、奇数が4個。偶数が6個。
ということは、6-4で(ここが算数ですね)、「2歩、右」で止まったことになります。
同様に、この場合は、奇数が7つ。偶数が3つ。7-3で、「4歩、左」。
このようにして、どんどん記録を加速させつつ、何度も
「さいころを振る」
「奇数、偶数を判定する」
「引き算をする」
の作業を繰り返しました。ひたすら(^^)
途中、「どこに一番多く止まるか?」という予想を立ててもらいました。H君は、「右に2歩と左に2歩のあたりに帯ができそう」と予想してくれました。一方、Sちゃんは「真ん中(0歩)のところが一番多い」と考えてくれました。
「あれ? 1、3、5歩でとまるのが1回もないよ?」とH君。
それはいいことに気が付きましたね! では、なぜなのでしょうか?!
「ええと…あれ? そっか!」
「5-5は0。でも、6-4になったら、2つ差ができる。だから、かな…?」
そう、その通り!
そして、付け加えると、
7-3=4
8-2=6
9-1=8
10-0=10
と、これだけしか起こりえません。だから、0、2、4、6、8、10にしか止まらないのです。なかなか鋭い気付きですね、H君!
というわけで、二人の調査をあわせて、結果発表!(写真の上のグラフがそうです)
「どうやら真ん中が一番多い」
ということが、この日は分かりました。(つまり、Sちゃんの予想が当たりました!)
また、もう一つ大事な発見、
「端に行けば行くほど、少なくなるんじゃないかな?」
ということも、付け加えておきたいと思います。
これは「真ん中が一番多い」ということの言いかえと取れるかもしれませんが、そうとも言い切れないところもあります。山が二つあるからです。
そこでH君がいいことを言ってくれました。
「でも、このぼこっとしてる(右に6のところ)のは、なんでやろうなあ?」
と。
それがなぜなのかを調べるのも、きっと法則を掴むのと同じぐらい、いい勉強になるのではないかと思います。そこで、私がアドバイスに言えることは、「回数をもっと増やせば、どうなるでしょうか」ということです。ぜひ興味があれば、また続けてみてください。
* * *
ちなみに、このクラスでは、最初の時間には、以前お伝えした「足し算パズル」や「迷路」、また「ドリル」をしています。(下の写真がそれです^^)
(されど迷路。粘り強さが試されます)
P.S.
Sちゃんの今しているドリルが、99課まで進みました。あと1つで、100になります(そして100で終わりです^^!)。宿題でしてきてくれたページを見せてもらうと、家でお父さんに見てもらったとのことでした。その箇所がどこか誇らしげで、しっかりとした「理解のあと」が見えました。よくがんばりましたね、Sちゃん!