福西です。
この日は、ちまたでは「ABC予想」という数学上の話題が盛り上がっていたので、それに寄せて、このクラスでも整数論的な問題に取り組みました。
第1問
a×a+b×b=c×c となる数a,b,cの組(ペア)を見つけよ。ただしa,b,cはそれぞれちがう自然数(1,2,3…)とする。
a×aというのは、正方形をかいてイメージしてもらいました。以前、かけ算の九九の「二乗の数」について触れたこともあり、11×11~20×20までの数を覚えている生徒もいました。
さて、この問題はご存知の通り、ピタゴラスの定理の自然数版です。(その答となる数の組もずばり「ピタゴラス数」といいます)。
4年生の生徒たちにできることは、自分の知っている九九を書き出すことです。
1×1=1
2×2=4
3×3=9
4×4=16
5×5=25
6×6=36
7×7=49
8×8=64
9×9=81
10×10=100
と、ここまで書いて、S君は、あることに気が付きました。「=」の右側に挙げられた数字で、足すとまたその右側の数になるような組み合わせがあるのではないか、と。たとえは、1と4は、足すと5になり、これは右側の数にはないことはすぐにわかります。なので、これは違います。さて…。
「ほら見て、ここ。9+16=25。25はある!」
と、S君は自分で見つけたことを嬉しそうに報告しにきてくれました。そうです。9+16=25でピッタリということは、つまり、3×3+4×4=5×5が見つかったということです。これが一つの組です。
では、他には見つけられるでしょうか?
そこで、T君、Sちゃん、R君がほぼ同時に、「a=6、b=8もそうなるのではないか?」と手を挙げてくれました。では、実際にやってみましょう。
36+64=100
「あ、10×10がある!」
と。100はとてもきれいな数ですね。これで、
(3,4,5)
(6,8,10)
が見つかったことになります。
さて、これをじって見ていて、T君はさらに次のような仮説を立ててくれました。
「a、b、cを2倍、2倍していっても、成り立つのではないか?」
と。ではさっそく「善は急げ」でやってみましょう。必要なのは、12×12と16×16です。すると、T君がとっさに、「それ知ってる! 前やったから」と、「144と256」と答えてくれました。
12×12=144
16×16=256
ではこれを足すと、いくつになるでしょうか。
「400ぴったり!」
ですね(^^)。ということは、
「20×20! ということは、やっぱり10の2倍であってた」
となり、(3,4,5)、(6,8,10)、(12,16,20)も題意を満たすことが確かめられました。ぜひ、この続きも確かめてみてください。
この日生徒たちが見つけた法則は、「(3,4,5)をもとにして、2倍、2倍しても成り立つ」ということでした。そして一つ見つかれば、それをもとに「無限組」の答を作ることができるということにも、納得してもらいました。「一つから無限」ということは、強調しておくべきことです。(次に出した問題と関係してきます)
#実はピタゴラス数というものは、「2倍、3倍、4倍…」と自然数倍しても成り立ちます。また他に(5,12,13)という別の種類の組も見つけることができ、それを「2倍、3倍、4倍…」としていけば、無限の組み合わせが、さらに無限通り見つかることになります。しかしそれは今は言わずにおきました(^^) 「この日見つけた」という事実が大事だったからです。
さて、この日の第2問(メインディッシュ)ですが(^^)、それは次の稿に。
“かず4年B(0921)その1” への1件のフィードバック