ことば1年(1/29,2/5,2/12)

福西です。3週分の報告です。

1/29

『きりのなかで』(木村裕一/作、あべ弘士/絵、講談社)を音読しました。

ガブは「ヤギの肉よりも、ヤギが好きだ」とはっきり言葉にして、メイに伝えるシーンが印象的でした。このガブの認識は、シリーズ全体のターニングポイントだと思います。

俳句は、次の句を暗唱しました。

生きながら一つに氷る海鼠かな 芭蕉

今日も目を空へ空へと冬欅 楸邨

 

海鼠は「なまこ」、冬欅は「ふゆけやき」と読みます。

2/5

『どしゃぶりのひに』(木村裕一/作、あべ弘士/絵、講談社)を音読しました。

ガブとメイが一番恐れていた出来事が生じます。それは仲間うちに二匹の関係が知られてしまうことでした。二匹は、互いの仲間から「お前はだまされている」と言われ、また「逆に向こうの情報を聞き出してこい」とけしかけられます。ガブとメイはお互いの気持ちを確かめ合い、葛藤の末に「二人だけ」の道を選びます。

俳句は、

鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる 楸邨

を紹介しました。また、前の日が立春ということで、これまでの秋と冬の句のおさらいをしました。

2/12

『ふぶきのあした』(木村裕一/作、あべ弘士/絵、講談社)を音読しました。これでシリーズを読了しました。S君とT君、おめでとうございます。

「みどりのもり」を目指して雪山を上るガブとメイは、寒さと飢えに苦しみます。加えて、裏切り者を許さないオオカミの追撃に遭います。ガブとメイは互いに自分を犠牲にしようと試みますが、相方に拒まれます。そして「どちらが生き残っても、一緒におしゃべりができなくなるのなら、それは同じことだ」という心境に達します。そうでありながらも、ガブは最後、オオカミたちに向かっていき、雪崩を起こして道ずれにします。そのことを知らないメイは、朝日に姿を現した「みどりのもり」に喜び、「ガブ、はやくおいでよ!」と叫び続けます。

『あらしのよるに』シリーズはこの6巻目で一度完結です。(完結後に7巻目が書かれましたが、このクラスで扱うのはここまでとします)。

俳句では、次の春の2句を暗唱しました。

鉛筆を落せば立(たち)ぬ春の土 虚子

春の山たたいてここへすわれよと 石田郷子

一句目の季語「春の土」は、どれぐらいの固さなのかなとイメージしてもらいました。最初はただ単に「やわからそう」という感じでしたが、S君が「冬の後だから固い」ということを言いました。フニャフニャでもなければカチカチでもない、そういうイメージが広がりました。

二句目は、「春の山」のあとで軽く切れます。それなので「たたいてここへすわれよと」との意味上のつながりはありません。でも、つなげてみたくなりますよね。そこが詩的です。春のそわそわした気分を表した句だと思って紹介しました。