福西です。
この日は「俳句を作りたい」という要望から、1時間、俳句作りに専念しました。
T君
ほふほふと皮まで食べるさつまいも
氷柱折りなめる子どものにやり顔
うらにわのねこのあくびも春景色
春来るかばんにつめるメロンパン
「さつまいも」は仲秋、「氷柱」は晩冬、「春景色」は三春(「春光」の傍題)、「春来る」は初春の季語です。
初句は、しぜんクラスで得た、T君の実体験(実感)なのでしょう。原句では「はふはふ」でしたが、推敲を重ね、「ほふほふ」に決まりました。オノマトペは、「今まで誰も文字にしたことのない音」に挑戦するとよいです。
二句目は「折り」「なめる」と動詞が二つありますが(できれば一つがよい)、「折り」と「にやり」で韻を踏んでいるので、気にならないと思いました。「にやり顔」がこの句の手柄だと思います。
三句目は「も」がよいです。ねこのそばに誰かがいることを連想させます。そこが詩だと思いました。
最後の「春来る」の句は、帰り際に整いました。期待感をしのばせる「かばん」と「メロンパン」。季語の「春来る」とも響き合っています。
四句とも、リズムがよいです。
あと候補になっていた季語は、「冬来る」「冬終わる」「春隣」でした。また、いい句ができたら教えて下さい。
Sちゃん
「雪の田んぼを猫がまっすぐ素早く通りぬけていった」という自身の発見(驚き)を、Sちゃんは句材に持っていました。それを作品にしようと一生懸命でした。
雪の田や猫の足跡にゃにゃにゃにゃにゃ
雪の田や猫の足跡ももももも
雪の田や猫の足跡ぽぽぽぽぽ
雪の田や猫の足跡一直線
雪の田や猫の足跡まっすぐと
雪の田や猫の足跡星のよう
雪の田や猫の足跡落とし物
雪の田や落とし物する猫の足
雪の田や猫の足跡まる四つ
季語は雪の田。(最初は「冬の田」でした)。上五・中七までは決まり、あとの下五をどうするかで悩みました。まだ決まり切らず、お家に帰ってからも考えるそうです。(Sちゃんは「できれば動詞を一つ使いたいなあ。でもそれがムズカシイ……」と苦悩していました)
推敲に推敲を重ねると、結局は最初の句(直感で出てきた言葉)が一番良かったりする(光って見える)ケースが多いものですが、さてどうなるでしょうか。Sちゃんの仕上げを興味をもって待ちたいです。
一句にこれだけ精神を投入できることは、すごいことです。