福西です。
この日は、さいころを使って、1けたや2けたの足し算をたくさんしました。(暗算、筆算、電卓を駆使しました^^)
第1の問題
最初は、「6面のさいころを同時に10個ふって、合計が大きい人の勝ち」ということをしました。制限時間は5分。その間、何回振り直してもかまいません。ただし、合計は紙に計算してもらいました。
制限時間がある場合、当然、速く計算できたほうが有利です。そこで、「もし値が少なそうだと判断した場合は、計算に入る前に振りなおしてもいい」(ただし全部振りなおす)というルールにしました。
その目的は、計算を手抜きするということではなくて、「おおよその数」の認識を早くすることです。たとえば5と5で10を作ったり、1(あるいは6)がたくさん出ているかどうかというところに着目します。この手の計算は、スーパーのレジに並んでいる最中、買った物が所持金をこえていないかどうか(あるいはいくら出せば足りるか)を頭の中でチェックする、あの時と同じ頭を使っています。
計算中。(10個の出目を計算するのは、けっこうためになります。こういう時こそ、「10をつくること」が実戦的な智恵となります)
この時の勝負は、Sちゃんが40、31、31、31、35、39で、最高が40。(たくさん計算してくれました^^)
対するH君は、30台が何回かと、43。よって、H君の勝ちでした。
またこのとき、「同時に10個振るのと、ばらばらに10回ふるのと、どちらの方が合計が大きくなるか?」という、ちょっといじわるな質問をしました。生徒たちは、最初「ばらばらの方が大きい」と答え、次に「同時」と反対意見が起こり、最後に「どちらも同じ」という結論に落ち着きました。感覚的には「ばらばら」に振ったほうが、気合が入って大きな値になりそうです。けれども、もちろん同時に振った時と目の出やすさは変わりません。それがなぜかは、ぜひまた一人の時に自分の頭で考えてみてください。
第2の問題
次は、「20面のさいころ1つと、6面のさいころ3つを、それぞれ10回振って合計を競う。さて、どちらが得か?」という問題を出しました。これは期待値計算といわれる問題です。ただこのクラスでは、それを興味にひたすら「足し算」の計算をする機会としました。
20面は20まで出せますが、6面3つでは、最大18までです。それなのに、「どちらが得か?」ということをわざわざ考える必要はあるのでしょうか?
H君にどちらかを選ばせたところ、彼は満を持して「20面の方が得や」と言ってそちらを選んでくれたので、私は6面を引き受けました。そして、いざ勝負。
実際やってみたところ、結果はH君の20面が103、私の6面が105でした。勝ち負けはここでは問題なくて、これは「ほぼ同じだ」と言えるかと思います。もちろん1回しかやっていないので、まだ法則を掴むというところまでは至っていませんが、頭の隅にとどめておいてもらえればと思います。
次にSちゃんに 似たような問題として、「20面1つと、4面5つ。どちらが得か?」を選んでもらいました。どちらも最大は20です。
さて、ここでSちゃんは、20面を選びました。というわけで、私は4面。はてさて…。
結果は、Sちゃんのサイコロ運が爆発して、20面が134。私の4面は119でした。…と、こういうことも実はあります(^^)。Sちゃんはほとんど13以上の大きい目を出していて、1けたは「2」と「3」の2回だけ。対する私は10以上をコンスタントに出していて1けたは0回。それでも、私の負けとなりました。
(「わあ、Sちゃんが勝ってる!」)
#ちなみにここで種明かしをしますと、
20面1つの平均は、10.5
6面3つの平均は、3.5×3=10.5(上と同じ)
4面4つの平均は、2.5×5=12.5(かなり多い)
となります。この計算は、6年生になって出会います。「なんか前にやったことあるぞ?」という気持ちで、また楽しみにしておいてください。
第3の問題
「この缶の中にあるさいころを、出目の合計の最大が30を超えないようであれば、どれでも何個でも選んでよいとします。さて、選んだそれで先生と勝負!」
これは、単に第2の問題の設定の数を大きくしただけなので、ここでは詳細は割愛します。ただ結果は、私の上で想定していたとおり、偶然を廃したものとなりました。(私が大差で勝ちました)。そこで、「このあともう10回すれば、逆転できるか? それとももっと差が開くか?」という質問を投げかけました。すると生徒たちからは、その時点の予想では、「もっと差がつく」という返答が聞かれました。
第4の問題
授業は上の3問で時間となったのですが、最後に、帰りがけにこのような問題を出しました。
「6面のさいころを100回と、20面のさいころを30回。どちらも最大は600だが、果たしてどちらが得か?」
これは、ぜひ今後の問題とすることにしましょう。
ただ坂道を降りるときに、H君が、「全部6が出たら、600。ということは、全部1が出たら、いくら?」という質問をしてくれたのが、特筆すべきことです。そして私が答えるまでもなく、H君は「(6面の方は)100や」と答えてくれました。
「なら、20面の方は?」と私がたずねると、
「うーんと、何回振るんやったっけ?」
「30回」
「なら、30」
「どっちが大きい?」
「あ…100の方が大きい」
と。さてさて、そのあと、どのような考えに至るのか、今後が楽しみです(^^)。
途中からは電卓が活躍しましたが、端々の簡単な計算や、「なぜそうなるのか?」という理屈を考えるようなときには、とっさの計算として、暗算が大活躍でした。2年生のSちゃんは、ついこの間までは筆算でしていたはずの2けたどうしの計算が暗算でできていましたし、1年生のH君もまた、そのSちゃんと一緒になって、24+7は…31やろ! というように、頭をフル回転させて、十分着いて来てくれていました。そのような二人の姿がたのもしかったです。