福西です。
『人生の短さについて』(セネカ、茂手木元蔵訳、岩波文庫)の18章を読みました。
生徒のA君の要約です。
パウリヌス君よ、君の生涯の大部分は国家のためにささげたではないか。君は世の中に尽くし、敬愛を得ている。しかし穀物の利益を知るよりも自部自身の利益を知るほうが有益である。
君が若年のころから学んできたことは穀物よりも重要な事に使われるべきである。
それに食料のことに関して群衆は常に怒っている。ガイウス帝の時に穀物管理を任されて、人々の気持ちはどうだっただろうか。
セネカは、パウリーヌスに、「他の者にもつとまることをいつまでも引き受け(生涯現役の4番ピッチャーのように)、多忙のままで人生を終わらせることはない。しかもそれが皇帝と民衆の板ばさみになるような、危険な付き合いであればなおさらだ」と忠告します。そして、パウリーヌスが若いころに哲学を熱心に学んだことを思い起こさせます。「哲学(学問)をすることが君のもっと大きな仕事だ。それは怠惰ではない。静かな港に帰ることなのだ」と。