かず4年B(0914)その2

福西です。前回の稿の続きです。

 

3枚の場合です。

初期状態は、こうです(Aに三枚)。これをBかCにそっくり移し変えるのにかかる手数は、最短で何手か? という問題です。

 

 

まず、1手目。仮にここではBに置くとします。

 

2手目。ここは一択です。

 

次が二択なのですが、もしここで1を3の上に置いてしまうと、次に2の置き場がなくなるので、無駄な手順ということが分かります。そこで、1は2の上に置くのが最短の手順。さて、ここまでで3手かかりました。さて、この状況は「セーブできる」(あとでこんがらがっても、この状況に戻ってきて、「3手目」とできる)ことに、気付かれましたでしょうか?

 

さて、ここが強調すべきところです。4手目です。しかし、これを「4手目」とべたっとは数えずに、この「3の円盤だけ」を動かすためにかかった手数は何手と言えるでしょうか? そう、1手だけですよね。で、その1手ではたと手を止めるのが、実は重要です。この時、ようやく一番下の円盤が他の場所に移せました。これがしたかったから、上から2枚をどけた、とも言えます。さて、ここで以前の手順を振り返ってみてください。以前の円盤は何枚あったでしょうか。2枚でしたね。そして「その2枚の円盤を動かすのに、何手かかりましたか?」と聞かれたら、さっきのセーブを思い出して、「3手」ということが言えます。つまり、ここでは、「3手」に「1手」を加えるという作業をしていることになります。

 

さて、続きですが、実は、もう「考える必要は無い」(むしろ、すでにもう考えてある)ということに、お気づきでしょうか。そうです。このあと、3の円盤の上に、1と2の円盤をそっくり移し変えるわけですが、それをするのには、何手かかるはずだったでしょうか? そうです。以前セーブした状況と同じ、3手です。というわけで、あとはその確認です。

 

1、2…

 

3と。そういうわけで、ここまでかかって手順をまとめると、「上の2枚を移し変える」(ここでセーブ)+「一番下を別の場所に動かす」+「また上の2枚を移し変える」=「3手」+「1手」+「3手」=7手です。つまり、これが他に最善手はなく、7手が最短であるという理由です。

 

さて、4枚にしても同じです。さっきの3枚の時の結果が使えます。要は、「上の3枚を移し変える」(ここでセーブ)+「一番下を別の場所に動かす」+「また上の3枚を移し変える」=「7手」+「1手」+「7手」=15手です。(確認のため、以下をご覧下さい)

 

ここまでで7手。(3枚の時の結果がそのまま使える。4の円盤は動いていないから、今はないのと同じ)

 

そして…

  

じゃん…じゃん…じゃん…!(スローモーションのつもりです^^)

 

これで1手分、ここが「真ん中」です!

 

あとは、前と同じ手順だ、ということに気付いた人は、「あ!分かった!」となるわけです(^^)。実際、生徒たちは、ここまでの道筋をノーヒントで、「あーだこーだ」と言いながら思考を整理して、たどりついてくれました。何より大きなことだと思います。

 

ここから後は、前にやった「7手分」だと気付けば、しめたもの!

 

さて、授業では3枚からわざと始めたわけですが、より法則性を掴むためには、2枚の時と、1枚の時を考えるのがミソです。なんとなれば数学では、問題を極端にすることで、だんだんと法則が見えてくるからです。

 

もちろん円盤が1枚から始めた場合は、1手です。当たり前ですが、「この1手を確認すること」がはなはだ重要です。(といいつつ、写真がないですけど^^;)

 

では、2枚の場合。

 

1手…

 

2手! ここでセーブ! さて、お次は…? そう、1手ですよね。なぜでしょうか? それは、1枚の場合で考えた時の「1手」だからであり、もっと言えば、「1枚を動かすのに1手かかる」というのが、問題に与えられている約束だったからです。つまり、1+1+1と、問題の約束の組み合わせで、きちんとこの2枚の時の「3手」は説明できることになります。

 

そのように、だんだんと理解を深くしていってもらいました。授業ではあっという間の1時間で、このような法則を掴んだ人(チーム)は、次に5段、6段…と計算を始めていました。なにせ、ブラフマンの塔が4段だと15秒で地球は滅亡してしまうことになるわけですから(笑)。そこで、余った時間は、滅亡までの日をかせぐために、できるだけ64段に肉薄してもらいました。

 

1、3、7、15、31、63、127、255、511、1023。ここまでで10段の移し変えにかかる時間(秒)です。時間にすると、16分かそこらです。

 

11段目 2047秒

12段目 4095秒

13段目 8191秒

14段目 16383秒

15段目 32767秒

16段目 65535秒

17段目 131071秒

18段目 262143秒

 

ここで、時間が来てしまいました。ちなみに18段目は、60で割ると、4369分。(これも今している割り算のいい練習になりますね^^)

でもって、さらに60で割ると、72.8時間。ということは、24時間が約3つ分なので、約3日ということになります。地球滅亡まで、あと3日!

 

さて、64段の場合は、いったい何日、何年と予想されるでしょうか。それはぜひ、「地球が滅亡するまでに、答を出してみて下さい」という、私から生徒たちへのスペシャル問題でした(^^)。

 

正直、難しい問題設定かなと思ったのですが、「三人寄れば文殊の智恵」というのは本当で、4年生たちのチームワークはさすがだと思いました。この日の生徒たちの健闘ぶり、頭のフル回転ぶり、また協力のし合いは、願わくば、記憶に留めておいてほしいと思います。

 

ちなみに、同じ問題を中学生の幾何のクラスでも特別に出したところ、これもまた、さすがは中学生と言うべきでしょうか。上の考え方とはまた異なる道筋で、原理を説き明かしてくれました。(それだけでなく、64段にかかる年数の桁数(オーダー)まで特定してくれました! すごいです)。さらに、その同じ中学生たちは、1の位の数が、1、3、7、5、1、3、7、5…と繰り返すことにまで気付いており、なんとも素晴らしい! という結果を残してくれました。しかし、それについては、また別の稿で。