春学期のクラスだよりを「山びこ通信」6月号より転載します。
「ギリシア語入門・講読A/B」 (担当:広川直幸)
入門の授業は、受講生1名を迎えて開講することができました。今年度も水谷智洋『古典ギリシア語初歩』を1年で終える予定です。1回1課のペースで進めています。語学の初歩で学ぶべきことは、語彙と文法です。古典ギリシャ語の場合、初歩の文法の修得は、要するに屈折(語形変化)の修得なので、授業の際、希文和訳の練習問題を解いてもらい解説をするだけでなく、時間の許す限り、曲用(名詞変化)と活用(動詞変化)の練習をしています。講読A では、J. J. Helm, Plato: Apology を教科書にして、プラトーン『ソークラテースの弁明』を四月から読み始めました。受講生は2名。2名とも昨年度の山の学校の授業で入門を終えたばかりなので、古典ギリシャ語の原典を読むのは初めてです。今のところ1回に大体1ページ進むことにしているので、1回20行程度のゆっくりとしたペースですが、徐々にペースを上げて、1年で読み終えるのが目標です。
また、この授業では、講読と平行して、North & Hillard, Greek Prose Composition を用いて作文も行っています。講読B では、引き続きA. R. Benner, Selections from Homer’s Iliad を用いて『イーリアス』を読んでいます。教科書や一般的な文法書には書かれていない、欧米人にとっては当たり前で日本人には分かりにくい文法事項を重点的に説明しています。この授業で『イーリアス』を読むのは今学期までで、来学期からは別の作品を読む予定です。
(広川直幸)