福西です。
この日は百人一首を20枚ずつに分けて、そのうちから3セットしました。対戦相手の私について、難易度を少しずつ上げていきました。
歴史的仮名遣いの取り札を、生徒たちはパズルを解くように取っていました。
絵本は『メロウ』(せなけいこ/再話・絵、ポプラ社)を読みました。
アイルランドの民話です。メロウは男の人魚です。絵本ではアザラシの姿で描かれています。メロウは人間と敵対することもありますが、お酒を通して、しばしば人間となかよくなります。けれども不思議な習慣があって、海でおぼれ死んだ人間の魂を、かご(絵本では「えびかご」)に閉じ込めてコレクションしています。閉じ込められた魂は、天国に行くことができません。
このメロウと友情を結んだ漁師がいました。彼はジレンマの末、メロウを酔っぱらわせたすきに、かごをあけて魂をすべて助け出します。ただ、魂は目に見えないので、本当に逃げ出せたのかどうかはわかりません。(そしてメロウにも魂に逃げ出されたことがわかりません)。そのあたりが、絵本独特の間で表現されており、印象深かったです。
漁師の作戦はうまくいき、その後、メロウとの友情にひびが入ることはなかったのですが、ある時、メロウは忽然と漁師の前から姿を消してしまいます。その理由は明らかにされません。
生徒たちは、読み終わった後も、メロウがどうなったのかなとか、不思議さを訴えていました。
実は、私自身このお話が好きです。活字だと、たとえば『妖精 Who’s who』(キャサリン・ブリッグス、井村君江訳、ちくま文庫)に採集されています。
生徒たちも、またいつか、同じ話に出会うかもしれません。