漢文クラス(2012/9/3)

引き続き、『荘子』逍遙遊篇を読んでいます。

先日、サッカー天皇杯のニュースを見ていると、群馬代表で「Tonan前橋」というチームが参加していました。「Tonan」とは何語だろうと気になったので、チームの公式ホームページをのぞいてみると、「図南」と表記することが分かり、次のように紹介されていました。

・「図南」とは 鵬(おおとり)が南方に向かって翼を広げようとしているという意味で、大志を抱き大きな事業を成し遂げようとすること(http://tonan.sc/club.htmより)

てっきりヨーロッパのことばと思い込んでいたので、漢字だったことにまずは意外だったのですが、更に驚いたのは、ここに紹介された寓話が『荘子』逍遙遊篇にもとづくものだということでした。ちょうどこの「図南」が出てくる部分を読み終えたばかりだったのですが、恥ずかしながら、「Tonan」とだけ見たときにはまったく気が付きませんでした。

『荘子』は日本でも古くから親しまれてきた書物であるだけに、読んでいると、見聞きした覚えのある表現にしばしば出会います。昭和の大横綱である「大鵬」がまさにこの篇に由来していることは有名ですが、ほかにもたくさんの名称・成語の典故となっています。Iさんが気付いて紹介してくれた、理数系の出版社「培風館」もそのひとつです。

こういった発見には人をハッとさせるだけではない、安堵のような気持ちにさせるところがあるのかなと、受講生のお二人の表情からは感じました。普段の学習のときとはちょっと違った雰囲気になるのです。ぜひ図南サッカークラブのこともお伝えしたいと教室に向かったのですが、うっかり失念しておりましたので、ここにご紹介した次第です。

木村