ことば1年(2018/9/25,10/2,10/9)

福西です。

【9/25】

『ワシとミソサザイ』(グドール/文、ライヒシュタイン/絵、百々佑利子/訳、さ・え・ら書房)を読みました。

鳥たちが「誰が最も高く飛べるか」で競います。次々と脱落者が出る中、ワシだけがどんどん高みを目指します。そのワシが力を失ったときに、出来事が起こります。小さな鳥であるミソサザイがワシよりも上空を舞ったのでした。ミソサザイはワシの背中にもぐりこんでいたのです。ワシは勝負に負けたと思って、打ちひしがれます。しかしミソサザイはこう言うのでした。「ワシさん、勝負に勝ったのは、あなたです。私は、高い空から見た地上がどんなものかをずっと知りたかったのです。今その願いがかないました。ワシさん、ありがとう。あなたのおかげです」と。

読後感がさわやかで、読んでよかったと思う一冊でした。

 

【10/2】

『へっこきよめどん』(富安洋子/文、長谷川義史/絵、小学館)を読みました。

紙芝居などでよく取材される昔話の一つです。ただ、この絵本のバージョンは私もはじめて読みました。姑さんを屁で吹き飛ばしてしまうあねさんの話です。普通のバージョンではあねさんが家を追い出されて、しゅんとしたあとに屁が活躍するのですが、このバージョンでは屁で吹き飛ばされた姑さん自身が活躍し、そのつかまったタケノコやイノシシを家に持ち帰って、ごちそうを得ます。

あねさんが悩み事を福に変え、周囲との関係をよりよくできたという顛末に、ほっこりしました。また「部屋」のいわれにもなっていて、「へー」と思いました。

 

【10/9】

『あおい玉あかい玉しろい玉』(稲田和子/再話、太田大八/絵、童話館出版)を読みました。

『三枚のお札』のバリエーションでした。栗拾いに出かけた小僧さんが、日が暮れて、山で家の明かりを見つけて、泊めてもらいます。しかしそこは山姥の家なのでした。小僧さんはなんとか逃げ出そうと、便所に駆け込みます。このバリエーションでは、和尚さんが冒頭に三枚のお札を渡す代わりに、話の途中から、便所の神様が三つの玉をくれます。それを足止めに使う下くだりは同じでしたが、しろい玉から出たものがイバラだったことに、ちょっと不思議さを覚えました。

和尚さんが玄関でじらすところが一番ドキドキしました。