西洋の児童文学を読む(2018/9/6,13)

福西です。

『王への手紙(上)(下)』(トンケ・ドラフト、西村由美訳、岩波文庫)を読んでいます。下巻の7章まで読み終えました。

ティウリとピアックは、とうとうウナーヴェン王に手紙の内容を伝えることができました。王はエヴィラン国からの和平交渉が偽りであることを今やはっきりと認め、戦う決意を臣下に公表します。

王の目には、悲しみがやどっていた。だが、顔つきはきびしかった。王は言った。

「エヴィラン王は、いまなお、われらの敵だ。彼に、この国を統治させてはならぬ。なぜなら、彼は悪だから! 彼はわたしの息子だ。わたしは彼を愛している。だが、彼は、悪だ。彼が王になれば、この国じゅうが苦しむであろう!」

ウナーヴェン王は双子の息子を持っています。一人はイリディアン皇太子。そしてもう一人は国を出て新しく国を建てたエヴィラン王。二人の容姿はうり二つだといいます。(この二人の魅力は、続編『白い盾の少年騎士』に引き継がれます)

ウナーヴェン王もまた双子の兄でした。そして弟は、隠者となることを選びました。大山脈の賢者メナウレスです。上記の公表をした王の心境は察してあまりあるでしょう。

ティウリとピアックは、あとはこの国の人々の問題であると感じ、ダホナウト国に帰ることを決めます。

次回はいよいよ最終章「ダホナウト国への帰還」です。