西洋の児童文学を読む(2018/5/30)

福西です。

『王への手紙(上下)』(トンケ・ドラフト、西村由美訳、岩波少年文庫)を読んでいます。一回一節ずつ、変わらぬペースで続けています。昨年度に上巻を読み終え、今は下巻の第7章「虹の川の西で」まで進みました。

一回ずつ、みんなで音読し、読み合わせています。また、あらすじ、語彙の確認、共感した箇所、気付いた箇所を報告し合っています。

第5章で、大山脈を越え、舞台は東から西へ。その間、ティウリはピアックという友人を得ます。今まで、一人で感じ、考えたことが、これからは二人共通の出来事となりました。二人が無理の場合は、どちらか一方がウナーヴェン王へ手紙を届ける、という覚悟の旅が続きます。

第6章「虹の川の東で」では、事件が二つ起こりました。

一つは、ダングリアという町で。市長がエヴィラン王国と内通しており、そのせいでピアックが捕まってしまいます。ティウリは町の人の力を借りて(他人に助けを求めることは、今までのティウリにはなかった発想です)、評議会で正々堂々と市長を論破し、ピアックの釈放を勝ち取ります。

次の事件は、虹の川を渡る時に。関所破りをこっそり謀りますが、失敗し、二人とも捕囚の身となります。けれどもそこの領主はウナーヴェン王の最も信任の厚い騎士の一人でした。なぜ領主が例外を認めてくれないのか。その説明をじかに領主から聞いたティウリは、彼を信用します。そのうえで、腹を割って話をすることで、今回も道を開きました。

この間、ティウリは手紙を燃やしました。その内容を今度は暗記し、ピアックにも伝えてあります。ティウリとピアックの一心同体ぶりには、胸を熱くし、心を洗われます。

次回は7章3節「スルーポル」。ティウリとピアックをつけ狙う密偵との対決の場面です。

また、次々回の7章4節では、いよいよ目的地に到着し、ウナーヴェン王と出会います。ますます目の離せない内容です。

 

【生徒たちの作成したあらすじ(下巻)】

第6章 虹の川の東で

6-1

朝、アルドックのしき地でハンマーを使い仕事をしている男にアルドックに会いたいと言った。しかしその男がアルドックだったので、用件を伝えると馬での同行を許可してくれた。ピアックは馬に乗った事がなかったがしばらくでなれた。ティウリは少々荒い馬をあっさり乗りこなしダングリアに着いた。アルドックと別れダングリアを出ようとすると、市へ入る時、市長への面会をすすめた衛兵が市長の所へ連れていった。(S君)

 

6-2

二人は市役所についた。ティウリは長くは滞在できませんと市長に言った。すると市長は「東からの便りは?」と聞いた。ティウリが「ありません。」と言うと、市長の友人に言わなくてはならないと言った。そのとき、不安が疑惑に変わった。するとピアックが手を胸にあてながら外に出た。市長の顔が怒りくるった顔に変わった。ティウリは二階部屋に隠れ、手紙を取りだした。(T君)

 

6-3

手紙を開けたが何が書いてあるかわからなかった。すると、部屋の外が騒がしくなった。ティウリは「弓と矢を持っている。」と脅した。静かになったが、外から矢が飛んできた。ティウリは打ち返し、敵のうでに命中した。いい計画が思い浮かんだ。そして、外に出ようと決心した。(T君)

 

6-4

ティウリは不安におそわれながら、ドアをあけた。兵士を一人とじこめ、脱出した。しばらく逃げ回り、一つの部屋へ入った。そこは市長の書記の部屋で、ティウリは書記にかくまってもらった。そして、書記に、市長についての助言を残し、階段を下りた。すると、あの老人が現れ、白鳥亭へ行った……。(Hさん)

 

6-5

ティウリが白鳥亭に行くと、すでにイルヴェンがいた。そして、と中で来たアルドックと下男にも一部始終を話した。ティウリはピアックを助けることを手伝ってほしいと言った。と中で話がエヴィランの話になり、市長が密通しているとティウリは言った。そして、評議会にみんなで行き、しゃく放を要求することになった。(S君)

 

6-6

ティウリたちは市役所の評議会に参加した。ティウリは市長にピアックの釈放を要求した。すると、釈放された。白鳥亭に帰った。二人は部屋で手紙のこと、市長の計略のことについて話した。イルヴェンがノックをして入ってきた。二人は礼を言い、イルヴェンと別れた。二人はダングリアを後にした。(T君)

 

6-7

二人は虹の川についた。が、橋には衛兵がいて、「金貨三枚を払え。」しかし二人はそんなお金は持っていない。泳いで渡ろうか、などと思っていると、もう一人の衛兵が出てきて、よき助言をしてくれた。「急いでいるなら領主さまに相談を」それはできない。領主は畏敬の念を起させる人だ……。そんなとき、フェルマンが自分のボートをかす、と、二人にこっそり言ってきた。二人はこの申し出に、お礼を言い、貸してもらうことにした。(Hさん)

 

6-8

二人は農場で仕事をもらい、納屋にとまった。12時が来ると、フェルマンの船をかしてもらうため、川へ行った。フェルマンは二人に忠告をあたえ、消えていった。ボートをこぎだすティウリ。見張りのピアックは、少しいったところで岩にのり上げ、おぼれかける。が、島にたどりつく。ティウリは指輪を思い出す。そしてピアックに手紙にかかれていた言葉を教え、夜明けをまつ。(Hさん)

 

6-9

ティウリとピアックは、ヴァルミンの指揮する船で城へ連れられていった。ティウリはヴァルミンに領主と話したいと願い出る。一旦こばまれたものの、結局領主に会った。指輪を渡し、話せるだけのことを話すと、出発を許可してくれた。下のホールでドアルヴェンに会い、少し言葉をかわした。そしてヴァルミンに礼を言い、二人は出発した。(S君)

第7章 虹の川の西で

7-1

ピアックは手紙の内容を歌詞にした曲をつくった。二人がインゲヴェルの森に入ると、親切な男たちが、「一息つくように」と言ってきたので、二人はきゅうけいする。男は、花祭りが今年はなかったことを少しなげく。ティウリはそれを見て、この人たちは、ここの領主に再び会えるのかと疑問を持つ。宿屋の『初夜』で馬を借りる。二人は夜、『初夜』から出発する。(Hさん)

 

7-2

二人は宿屋を出たが、口もきかずに馬を進めた。何か恐怖をかきたてるように感じた。すると、馬が道を横切り消えた。ティウリは馬が来た方向に行くと、ダングリア市長の書記が殺されていた。ピアックはだれかの気配を感じたが、だれもいなかった。ピアックに「『初夜』に帰って武装した人と来い」と言ったが同意しなかった。すると、二人を探す人たちが来た。二人は武器を出しどなったが虹の川の関守の領主から送られた騎兵だった。(T君)