しぜんB(2018/05/17)

担当の梁川です。

みんな揃ったところで教室を出ると、石段の隅でアリがミミズを運んでいる姿がみんなを捉えました。
ミミズと言ってもぴーんと真っ直ぐのまま干物になっている状態でしたので、これをどうやって石組みの隙間の小さい巣穴から入れるのか、見届けてみようということになりました。
しばらくすると、やっと巣穴に辿り着き、少しずつ、少しずつ、5センチ位あるミミズが引きずり込まれていくのですが、何しろ真っ直ぐなので、苦戦しているようでした。そして、とうとう姿が消えました。「すごい、真っすぐのままだけど、入ったね!」と感心した直後、また、じわり、じわりとミミズが全部引っぱり出され、また振り出しに戻りました。一筋縄ではいかないようです。

そして、しばらくすると、また同じように中に引き込まれていき、今度はもう出てきませんでした。うまく行ったようです。
この様子を眺めながら、巣の中では何が起こっていて、また、アリたちは、押したり引いたりの判断や、仲間との意思疎通をどのようにしているのだろう、ということを皆で考えました。

園庭について、ひとまずブランコに腰掛けるみんなと、今日はどちらに向かおうか、作戦タイムです。
「走りたい!」というNaoto君に対し、他のみんなは疲れがあるようで、あまり乗り気ではありません。そのうちに、「靴飛ばし」による競い合いが始まったので、少しその様子を見守り、結果的に「靴飛ばし大会」が3試合ほど行われました。

「さあ、どのタイミングで、どの角度に靴を飛ばすのがよいでしょうか?」
まっすぐ飛ばせる人もいれば、足の振りによって体勢がねじれ、思ったように飛ばせない人もいました。試行錯誤しているみんなの姿を見ながら、高校物理で習った振り子運動のことが思い出されました。みんなの側からも、「重力」や「遠心力」といったワードが出てきたので、そうしたものを拾いながらの対話が続きました。

去年、森の中で「野球」をしたことがありますが、「打つ」「投げる」といった動作の中にも振り子や円運動の原理がありますし、かつては金づちで釘打ちをするときに、同じような話になったこともあります。こうしてまず体で感じ、頭で考え、イメージできるようになることは、必ずどこかで役に立つように思います。

さて、ブランコが終わると、何か面白いものがないか、あたりを散策しました。
ふと、「アリジゴク」が園庭の隅にあったことが思い出され、今もあるかどうか、みんなで探しました。

すると、ありました!乾いた砂の上に、すり鉢状の穴。
「全然知らなかった!初めて見た!」とN君。

気の毒とは思いつつ、近くに歩いていた大きな働き蟻を、そっと「すり鉢」の中に落としてみると、もがけども砂が崩れて登れない、という、あの、絵に描いたような「蟻地獄」の姿を見ることができました。みんな息を呑んでその一点に集中していました。

すり鉢の中心にお尻が半分埋まるような形でアリがもがき続けていて、どうやらその下で「アリジゴク」がしっかりとアリを捉えているようでした。
しかし、この力比べ、長く続きましたが、最後にはアリに軍配が上がり、脱出に成功しました。

この流れからして、みんなはもう、「アリジゴク」そのものを見ずにはいられません。そっとスコップですり鉢ごとすくってみますと・・・いました!アリジゴク!
体長1センチほどの立派なのが。

アリジゴクの「ジョン」(Shizukuちゃん銘名)を、次回もみんなで観察することとなりました。
アリの立場になったり、アリジゴクの立場になったり。みんなで静かにドキドキを共有できた日となりました。