山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。
『かず』3〜4年・4〜5年
担当 福西 亮馬
あるとき、3~4年生クラスでは、次のような「数え上げ」の問題をしました。
これは次のように問題文を書きかえると、考えやすいです。
【書きかえ】
1)コントローラーがある。「↓」ボタンを1回、「→」ボタンを1回、合計2回ボタンを押す順番は何パターンあるか?
2)コントローラーがある。「↓」ボタンを2回、「→」ボタンを2回、合計4回ボタンを押す順番は何パターンあるか?
1)は上回りと下周りで2パターン、2)は6パターンあります。(4パターンかな、と思って違うのが、興味深いところです)。そして3)ではどうなるか、と考え続けました。
この問題の導入は、以下のような「パスカルの三角形」をかくことでした。左側と上側に1を書きつらね、十字の合流点で足し算をしていきます。この作業は、意味を知らないうちは退屈のはずで、私の予想では、「10分ぐらいで飽きるかな?」と思っていました。ですが、生徒たちは「千こえた!」「ぼく、1万まで行った!」と互いの歓声で楽しみ合い、クラスの時間が終わるまで調べてくれました。それを家に持ち帰ってまでしてくれました。
たてよこ11段ぐらいまで(その時は電卓を駆使しました)「どこまで増えるのかな?」という興味が続きました。そして右下にくる数字は、残念ながら、全員バラバラでした。ですが、その最後の「せーの!」の見せ合いが福笑いみたいでした。
4~5年クラスでは、次のような問題を考えました。そのときの5年生のAちゃんの「考え方」を大事に思ったので、書き記しておきます。
問2 3つのサイコロをA、B、Cとする。A≦B≦Cとなるのは何パターンあるか?
【Aちゃんの考え方】
(1,1,1)(1,1,2)(1,1,3)(1,1,4)(1,1,5)(1,1,6) で6通り。
(1,2,2)(1,2,3)(1,2,4)(1,2,5)(1,2,6) で5通り。
(1,3,*)は4通り。
(1,4,*)は3通り。
(1,5,*)は2通り。
(1,6,*)は1通り。
(1,*,*)の総数は、6+5+4+3+2+1=21と、「計算」できる。
同様に、(2,*,*)を調べる時も、(2,2,2)からスタートして、5+4+3+2+1=15だとわかる。
よって、全体で何を計算すればいいかというと、
6+5+4+3+2+1
5+4+3+2+1
4+3+2+1
3+2+1
2+1
1
というわけなので、すべてを数え上げると、56通り。
このような「数え上げ」の問題は、Aちゃんのように「まず、やってみる」ことが大事です。そしてその経験の中に、調べ方を工夫したことで、途中から計算方法が見つかっています。こうなれば、しめたものです。Aちゃんも、このときのことをぜひ自信にしてください。
なお上でみたことは、実際にはもう少し後になってから、確率のところで学びます。