『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読』クラス便り(2018年2月)

「山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読』

担当 山下 大吾

 二学期制で前学期に開講した初級文法クラスは後半のプログラムに入り、接続法や独立奪格構文など所定の過程を順調に進んでおります。受講生は引き続きCatさんお一方です。先に進んだので前に習ったことを思い出すのが大変だとの感想を頂きましたが、その思い出すことや繰り返しが何よりの力に繋がり、いずれ記憶に留まることになるものと思われます。練習問題の正答率も高いまま維持されており、このまま無事進んで教科書を一冊まるごと「あげる」その時を今から心待ちに致しております。

 講読クラスはAクラスとCクラスが散文のキケロー、Bクラスが韻文のホラーティウスとなっております。なお『義務について』を読み進めているCクラスは受講生のご都合で今のところまだ開講されておりません。2月中旬の再開を予定しております。いずれのクラスも文法を一通り終えた方でしたら受講可能ですので、興味を持たれた方は是非ご連絡下さい。

 Aクラスでは引き続き『友情について』を講読中、22節まで進みました。受講生は変わらずCuさんお一方です。プラトーンを引くまでもなく、人間が神から与えられた力の内で知恵ほど貴重なものはないと一般に言われますが、キケローはその見解を認めながらも、その次に位置するものは友情であると20節で主人公ラエリウスに語らせています。この作品の献辞の対象である無二の親友アッティクスに対するキケローからの最大級の賛辞と読むことが出来るでしょう。

 Bクラスでは『諷刺詩』2巻計18編の読了がいよいよ間近となってきました。その内容は諷刺というジャンルに相応しい、時に放埓とも言えるものから、2巻6編に代表されるホラーティウスならではの田園賛歌に至るものまで多岐にわたり、文法や特に語彙のレベルに関しても決して易しいと言えるものではないテクストを、一語一句いつもと変わらぬ姿勢で根気強く読み進められたCacさんの情熱に心からの拍手を贈りたく存じます。次の作品はCacさんとご相談の結果、ウェルギリウスの『牧歌』を予定しております。