福西です。6/8の記録です。この日、1年生には、正三角形の作図方法を示してもらいました。
正三角形は、小学4年生の頃に以下のようなコンパスで描く方法を習います。
1)点Oを通る直線に、点Oを中心に取ったコンパスで印をつけ、それを点O’とする。
2)1)と同じ半径のままのコンパスで、点Oと点O’を中心に取った弧で交点を作り、それを点Aとする。3)三角形OO’Aが正三角形である。
さて、これは私自身の思い出なのですが、私は上の作図法を習って、しばらくの間、「なぜ描けるのか」ということが分からずじまいでした(中学に入ってもそうでした)。結局、そのあとの垂直二等分線にしても、角の二等分線にしても、テストでは描くことができてちゃんと丸はもらえるのですが、その分気持ち悪い感じがしていました。(英語で言うと、試験範囲のテキストの和訳を覚えて、英文がそのまま出れば和訳できるけれど、文法的な説明はできないという状態です^^;)。
もちろん黒板では説明がなされたのだと思いますが、原因は、その時の理解の仕方が、自分の手を動かしたことによるものではなかったからなのだと思います。(そしてすぐに忘れてしまって、ほっておくと苦手意識になってしまう恐れがあったのだと予想します)
私が正三角形の作図の「原理」を納得したのは、やはり人から説明を聞いた時ではなくて、「自分の手」で、そしてそれを「人に説明している」時でした。そこで、1年生にもそのことを自身の体験としてほしく、証明してもらうことにしました。
この日、残念ながらM君はお休みだったので、以下はR君の解答によります。
R君の証明
1)作図のコンパスによる操作で、目印をつけるだけでなく、完全な「円」を描く。
2)すると、上図のOAは円Oの半径だと分かる。またOO’も円Oの半径なので、OA=OO’。
3)同様に、O’Aも円O’の半径。そしてOO’は円O’の半径でもあるので、O’A=OO’。
4)よって、OA=OO’、O’A=OO’より、OA=OO’=O’A。
5)ゆえに、三角形OO’Aは正三角形。
1)~5)のステップは、一つ一つ見ればどれも難しいものではないのですが、やはりそれを「一から自分で」説明するとなると、話の次元が変わります。
証明の種明かしは、作図のコンパスによる操作を、目印(円の弧)ではなく、完全な円として描いてしまうことにあります。ここが「作図法」を覚えるだけでは抜け落ちてしまう部分です。そこさえ丁寧にフォローすれば、あとはだれでも、図を見ながら「理屈」だけで説明できてしまいます。(何か特別な知識がないと解けないとか、そういうことは一切ありません)
もし今の時点で数学に苦手意識を持っている生徒さんには、ぜひ上のようなことをこそしてほしいと思います。それは実際10分あれば「得意」に変えられる部分です。「食べず嫌い」のままにしておくのは何とももったいないです。「やればできます」(^^)。
特に、上の証明で言うと、4)の部分が誰が見ても納得できる「サビの部分」です。それを「自分でも書ける」ことを確かめて、じかに「知的高揚」を味ってください。そうすれば、数学は好きになれると信じます。