浅野です。
サイードの『オリエンタリズム』を読みました。
「オリエント」というものはヨーロッパ人の頭の中にあるものだけれども、だからといって現実と全く関係のない作り事であるわけではなく、むしろ現実的な力関係の反映である、というのが本書の主旨であると私は考えています。
このことは、京都について考えるとわかりやすいかもしれません。京都に観光で来る人たちは、京都の人はいつも着物を着ているといったような期待をしているという側面があるでしょう。その期待に応える形で観光地の商店などでは実際に着物を着て接客をしています。そうなると、やっぱり京都の人は現実に着物を着ているのだということになりますが、それは外部の人の期待の反映であると言えます。もしも京都が観光に力を入れなくてもよい地域だとしたら着物を着て接客することもなかったでしょう。