福西です。
トンケ・ドラフト『王への手紙』(西村由美訳、岩波少年文庫)を読んでいます。来週に第3章を読み終えます。そのとき、以下のメモを使って、内容を振り返ろうと思います。
第1章~第3章を振り返って
【気づいたところ】
同じ表現が繰り返されるたびに、ティウリが「遠く」へ旅を続けていると感じられる。
1)
p230 「どこからいらしたの? どこへ行くの?」(ラヴィニア)
p161 「どこからいらした? そして、どこへお行きになる?」(城主ラフォックス)
p140 「どこから来た? そして、どこへ行く?」(大修道院長ヒロニムス)
p89 「どこから来た? どこへ行く?」(森のマヌケ)
10/4の授業で、p161のラフォックスの発言を、Kai君が発見してくれました。
2)
p31 「騎士が、『どこから来た?』ときいてくる。そうしたら、『遠くから。』と答えなければならない。(エトヴィネムの従者、合言葉)
p49 「どこから来た?」「遠くから。」ティウリが答える。(エトヴィネム、合言葉)
p90 「どこ? どこへ?」マヌケが大声で言った。「ずっと遠くへ。」ティウリが答えた。
p142 「そなたの、遠く困難な旅路にあって、神がそなたをお助けくださいますように。」(ヒロニムスの祝福)
p236 「たぶんわれらよりも遠くまで行くのだろう。」(リストリディン)
3)
p141 「メナウレスさまのところに寄っていくのなら、それは、正しいことであろう。」大修道院長が言った。
p236 「隠者メナウレスさまが、そなたを導いておられる!……それならば、よいことにちがいない。」(ラフォックス)
4) 時の流れが早く感じられる描写
p36 「ドアを開けよ。」という声を聞いたのは、ずいぶん前のように思えるが……。
p46 そのとき、はっとして現実に立ちかえった。
p55 自分がぐんと歳をとり、考え深くなったような気がした。
p57 先ほどまでのできごとが信じられないほどだった。
p178 塔の部屋でのこの日のことを、ティウリは決してわすれないだろう。そして、思い出すたびに、ぞっとすることだろう。
p193 すべてが非現実的に思えた。
【抜き書きのダイジェスト】
p28 「国王全体の安寧がこの手紙にかかっている。」
p29 「名の知られぬ、目立たぬ人が必要なのだ。しかし、同時に、この手紙をゆだねられる相手でなければならない。」
p30 規則も重要だが、助けを求めるこの男の要請は、さらに重要だ。
p31 「もしわたしが騎士であるとしたら、騎士の名誉にかけて、それを誓います。」
p46 ほかにはどうしようもなかったんだ、という結論に達した。
p47 そして、勇気をふりしぼった。何かをしなければならない。
p50 「赤い盾の黒い騎士は、わたしをわなにさそいこんだ。」
p51 「わたしが届けることはもはやできない。だから、届けてほしい!(中略)わたしは、そなたを信頼する。(中略)そなたに、多くを求めすぎているのはわかっている。だが、いまは、そなたこそ、この任務にうってつけの人物だ。」
p52 「騎士になるであろう。」と、黒い騎士が言った。
p53 「そなたは、ただ、わたしの使者であればよい。」
p53 ティウリは、深い悲しみにおそわれた。
p84 とつぜん、実行不可能なものに思えてきた。(中略)とつぜん、星が目に入った。
p90 「木だって、大きくなるとき、急がない。」
p90 「そうだよ。太陽を追っかけて。」ティウリは言った。
p102 ずっとこんなふうに、疑い深く、敵を恐れながら、進んでいかなければならないのだろうか?
p104 遠くの星のように弱い光だが、はっきりと見える。それは、白い盾の騎士からの最後のあいさつのように思えた。(中略)涙があふれそうになった。
p111 「指輪は持ってろ。おまえは、勇敢に指輪を守った。」
p123 そのとき、ティウリの心に、約束をした自分の声が聞こえた。
p127 「われわれは速くはないが、休むことなく、変わらぬ速さで歩きつづけている。」
p134 森をぬけられて、ほっとした。これで、旅の一部が終わったのだ。
p140 「その旅は危険か?」大修道院長がきく。「はい、ヒロニムスさま。」
p169 「さがす必要はない。指輪を持っている。さあ、これだ。」
p173 いまこそ、この手紙を読み、処分してしまうときだ。
p185 ティウリは驚いて、その女の人を見つめた。女の人は若く、ティウリと同じくらいの年ごろだった。
p187 「あなたが何をしたのだとしても、あなたがあの人たちの復讐にたいして身を守るすべがないのは、耐えられません。」
p189 「そなたが何をしでかしたのであろうと、必要であるならば、自分の身を守れるようにしてやりたいのだ。」
p191 少なくとも二人の人が、ぼくのために何かしようと思ってくれた。最後まで抵抗するんだ。助けるに値するやつだ、と城主に納得してもらうんだ!
p195 自分の命のために、手紙のために、戦った。
p196 「あなたがたは、ほんとうに騎士なのか? それとも、そのおろした面頬のうしろに身をかくす、単なるひきょう者か?」
p205 「わたしは、いま、それが、ぬれぎぬであったと信じる。」
p222 「そなたには、秘密があるな?」「はい、リストリディン騎士。」ティウリが言った。
「それが何かは、たずねまい。」
p225 「あなたがたは、わたしたちの味方で、同じ敵を恐れている。」
p226 「エヴィラン国王が、父親と和解したがっているといううわさが流れた。」エヴェイン騎士が言った。「多くの人がよろこんだ。わたしもその一人だった。だが、いまとなっては、わたしは、それを信じることができるかどうか……わからない……」
p227 「……あるいは、娘の与えた武器でもよいぞ。」
p234 「けれども、わたしの秘密は、わたしだけのものではないんです。だから、お話しできません。」
p234 「そうだと思ってたわ。」
p234 「ありがとう、ラヴィニア。」ティウリが、真剣な顔で言った。
p235 「騎士たちは、すぐに旅立つ。」(中略)「そなたは、もちろん、アルダンヴェンに乗っていくのだ。」
【おまけ】
『De Brief voor de Koning(王への手紙)』
オランダで制作された映画です。(2008年/トレーラー)