かず3~4年(2017/10/18)

福西です。

先週は、次の問題を考えました。

50cmの棒がおさまる箱(直方体)を作りたい。ただし、箱の一番長い一辺が、できるだけ短くなるようにしてください。

今週は、その問題を変形させて、次のように考えました。

たて、よこ、高さが1mの箱があります。この箱に棒をおさめたい。棒は、どれぐらいの長さまでなら大丈夫?

生徒たちは、最初「ええー?1mじゃないの?」と言いました。前回も、棒を収める箱を作るとき、棒と同じ形に、つまりふで箱のような細長い箱を作る人が大半でした。斜めの利用に思い当たったのは、一人だけでした。

というわけで、実際に10cm立方(1/10の模型)で考えました。

開けてみると…

こんな感じ。

 

まず、平面で考えます。写真は立方体の底面で、一辺10cmの正方形です。

まず、縦と横よりも、対角線(ななめ)の方が長いことを確認します。

そして、実際に定規で測ってみます。

すると、14.1cm~14.2cmのあいだであることがわかりました。

「1辺が10cmの正方形の対角線は、だいたい14cm」

という経験則を得ました。

問題では1mの箱なので、その10倍になります。

つまり、棒を立方体の底に寝かせるなら、1.4mの棒はなんとか入る、ということです。

次に、立体で考えます。高さの方向にも、「ななめ」が取れることがわかります。一番遠いのは、「ななめ向かい」の角どうしです。

写真再掲。右側が、立方体の「中身」に作れる一番長い「ななめ」を示しています。

取り出して置いてみると、こんな感じ。たてが10cm、横が14.1cmの長方形の対角線です。

14.1cmは、さっき考えた「底面」の対角線にあたります。

さて、長方形の対角線を実際に定規で測ってみます。

すると、17.3cm~17.4cmのあいだであることがわかりました。

「1辺が10cmの立方体の一番遠い点同士の間は、だいたい17cm」

という経験則を得ました。

問題では1mの箱なので、その10倍になります。

つまり、棒を立方体の底に寝かせるなら、1.7mの棒はなんとか入る、ということです。

 

実際に、箱の中に棒を「ななめに浮かせて」入れると、「ほんとだ」ということが確かめられました。

やってみると「なんだ」となりました。

けれども頭でそれを思い浮かべるのは難しい。

ということが今回伝えたかったことでした。

生徒たちには、日常でも、道路を歩いているとき、ななめに歩くか、まっすぐ歩くかで、距離が変わることを想起してもらいました。

これで、「ななめ」思考に強くなったかな?!

 

【補足】

上の写真のように、「ななめ」の「ななめ」……と重ねていくと、10cm→約14cm→約17cmと増えていきます。

つまり、考える入れ物(1辺10cm)が、

直線なら、最大10cm

正方形なら、最大約14cm

立方体なら、最大約17cm

……

の棒が入ることになります。

棒が、だんだん伸びるのです。

これは、不思議なことだと思います。

中学生になると、1、√2、√3…を習います。定規で実際に測った長さが、それです。化学の世界でも、「空間のななめ」の考えは、分子間の距離を計算するときに必要です。

またいつか出会うでしょう。