5/23 歴史入門(高校)

岸本です。

今日は、第一次世界大戦後の国際情勢と欧米各国の状況を見ていきました。

 

大戦後、その多大なる犠牲を反省して、国際情勢は協調路線へと向かっていきました。

国際連盟や軍縮条約などはその成果です。

他方で、ヨーロッパ各国の国内情勢は、戦後の不況も相俟って不安定でした。

フランスで強行的な対外政策を主張する保守派が政権を握っていた時あれば、選挙法改正を経たイギリスではロシア革命の成功を受けてか、社会主義政党である労働党が初めて政権を握ることもありました。

特に、敗戦国のドイツでは、エーベルト大統領の下でヴァイマル共和国が誕生し、中道的な政策をとりますが、経済状況などに左右されて、不安定な状態が続いたのです。

また、独立したばかりの国々では、チェコを除いて議会制民主主義がうまく機能せず、独裁者を生むことになったのです。

それは、イタリアにおいてファシズムという形でも現れてきました。

こうした経済や政治の不安定さに対して、どのように対処していくのか、現代日本に住む我々がここから教訓として得られることは少なくないでしょう。

 

一方、海の向こうのアメリカは、大戦を機に国際市場の中心地となり、今までにない好景気を迎えます。

商品の大量消費の時代が訪れ、映画やスポーツといった大衆文化も発達していったのです。

現代日本では当たり前の生活がこのときのアメリカに生じていたことを考えると共感を覚えるのですが、私の世代では、もはや好景気という時代を(理論的には別として)共感をもって語れないというのが、皮肉めいていました。

 

生徒さんとは、ソ連の政策で議論になりました。

ソ連はNEPの後、スターリンの指導の下第一次、第二次五カ年計画を進めていきます。

集団化や農村の荒廃といった負の側面を主に話したのですが、生徒さんはソ連がこの後の世界恐慌の影響をそれほど受けていなかったのではないかという指摘をしてくれました。

なるほど、確かにそれは社会主義政策の正の側面でしょう。

生徒さんから指摘を受けることで、議論に深みが増していくのも、このクラスの醍醐味です。

来週は、大戦後のアジアの様子を見て、今度は第二次世界大戦が生じた経緯を議論できればと考えています。