ことば3~4年(2017/9/6,13)

福西です。

一週目は俳句をしました。

俳句には、「一物仕立て」(いちぶつしたて)と「取り合わせ」(とりあわせ)という二つの型があることを伝えました。

厳密さを犠牲にして言うと、

「Aは~です」が、一物仕立て。

「Aは~です。Bは~です」が、取り合わせ。

これを五七五という制限の中で実現します。

それを可能にしてくれるのが、「~や」などの切れ字です。

 

一物仕立ての例

春の海ひねもすのたりのたりかな 蕪村

蟷螂の共食ひ鎌を食ひ残す    凡茶

柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺   子規

取り合わせの例

閑さや岩にしみ入蝉の声    芭蕉

古池や蛙飛こむ水のおと    芭蕉

さまざまの事おもひ出す桜かな 芭蕉

『決定版 一億人の俳句入門』(長谷川櫂、講談社現代新書)の筆者の説明では、

「岩にしみ入蝉の声」を聞いて「閑さ」を感じたという取り合わせの句である。

とあります。「閑さや」は、それだけで「私は閑さを感じている」という一つの文章になっています。そして、「や」が「私は閑さを感じている」と「蝉の声が岩にしみ入っている」という二つの文章を切って、そこに時間的な倒置が生まれている、というわけです。

ポイントとして、取り合わせでは、主語が二つになります。

つまり、一つは季語、もう一つは作者(の心情)です。

そのような枠組に対する視点を持つことで、俳句を深く味わうことができ、また作ることができます。

「蛙飛込む水の音」と、「古池(に気づいた私)」。

「さまざまな事おもひ出す私」と、「桜」。

「取り合わせ」という型を知っていることで、たとえば「桜が思い出す」というような誤解から解放されます。

今回生徒たちが作ってくれた俳句には、一物仕立てがよく見られました。

はがおちて秋もちかづくしょうこかな  Fuka

花のみつあつめてあまいジュースかな  Fuka

山の中かりした人のあとのこり     Fuka

夕ぐれや秋風ふいて色にあう      Fuka

風にのりブランコゆれる楽しいな    Fuka

秋風がわたしをさそうとぶ気持ち    Fuka

カくんはねさしてちをすういらいらくん Yu

ようち園かざりたくさんすごい数    Ayaka

ようち園あさがおさいてかれるかな   Ayaka

セミの声どこかなどこだみみすます   Ayaka

カブトムシツノのほうだけ発見だ    Uta

カブトムシしんでもつよそうすごいつの Yusuke

かぜにのりスピードあかのブランコダ  Yusuke

 

二週目は、先週作ってくれた俳句を、コメントをつけて返しました。

そのあと、推理クイズに興じました。U君からのリクエストで、他の生徒たちもそれがいいとなりました。机なしで、椅子だけを半円において、手を挙げてもらいました。心なしかお互いの距離が近くなった気がしました。4問解きました。

最後の10分間、漢字でプチ運動会をしました。知っている漢字を10分間でどれだけ書けるか。チームに分かれて興じました。漢字は1点、俳句(創作)は10点です。

べんきょうやみんながねっ心がんばるぞ      Fuka

接戦で、思いがけない盛り上がりを見せて、楽しかったです。