福西です。
一週目は俳句をしました。
俳句には、「一物仕立て」(いちぶつしたて)と「取り合わせ」(とりあわせ)という二つの型があることを伝えました。
厳密さを犠牲にして言うと、
「Aは~です」が、一物仕立て。
「Aは~です。Bは~です」が、取り合わせ。
これを五七五という制限の中で実現します。
それを可能にしてくれるのが、「~や」などの切れ字です。
一物仕立ての例
春の海ひねもすのたりのたりかな 蕪村
蟷螂の共食ひ鎌を食ひ残す 凡茶
柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺 子規
取り合わせの例
閑さや岩にしみ入蝉の声 芭蕉
古池や蛙飛こむ水のおと 芭蕉
さまざまの事おもひ出す桜かな 芭蕉
『決定版 一億人の俳句入門』(長谷川櫂、講談社現代新書)の筆者の説明では、
「岩にしみ入蝉の声」を聞いて「閑さ」を感じたという取り合わせの句である。
とあります。「閑さや」は、それだけで「私は閑さを感じている」という一つの文章になっています。そして、「や」が「私は閑さを感じている」と「蝉の声が岩にしみ入っている」という二つの文章を切って、そこに時間的な倒置が生まれている、というわけです。
ポイントとして、取り合わせでは、主語が二つになります。
つまり、一つは季語、もう一つは作者(の心情)です。
そのような枠組に対する視点を持つことで、俳句を深く味わうことができ、また作ることができます。
「蛙飛込む水の音」と、「古池(に気づいた私)」。
「さまざまな事おもひ出す私」と、「桜」。
「取り合わせ」という型を知っていることで、たとえば「桜が思い出す」というような誤解から解放されます。
今回生徒たちが作ってくれた俳句には、一物仕立てがよく見られました。
はがおちて秋もちかづくしょうこかな Fuka
花のみつあつめてあまいジュースかな Fuka
山の中かりした人のあとのこり Fuka
夕ぐれや秋風ふいて色にあう Fuka
風にのりブランコゆれる楽しいな Fuka
秋風がわたしをさそうとぶ気持ち Fuka
カくんはねさしてちをすういらいらくん Yu
ようち園かざりたくさんすごい数 Ayaka
ようち園あさがおさいてかれるかな Ayaka
セミの声どこかなどこだみみすます Ayaka
カブトムシツノのほうだけ発見だ Uta
カブトムシしんでもつよそうすごいつの Yusuke
かぜにのりスピードあかのブランコダ Yusuke
二週目は、先週作ってくれた俳句を、コメントをつけて返しました。
そのあと、推理クイズに興じました。U君からのリクエストで、他の生徒たちもそれがいいとなりました。机なしで、椅子だけを半円において、手を挙げてもらいました。心なしかお互いの距離が近くなった気がしました。4問解きました。
最後の10分間、漢字でプチ運動会をしました。知っている漢字を10分間でどれだけ書けるか。チームに分かれて興じました。漢字は1点、俳句(創作)は10点です。
べんきょうやみんながねっ心がんばるぞ Fuka
接戦で、思いがけない盛り上がりを見せて、楽しかったです。