ことば4~6年(2017/7/4)

福西です。

『二分間の冒険』(岡田淳、偕成社)を読んでいます。7章「竜の館」まで読み終えました。

悟が元の世界に戻るには、「確かなもの」を見つけて「つかまえた」と言う必要があります。

悟は「確かなもの」を最初はかおり、次にだと思います。けれども道中、悟とかおりは竜を倒す剣を手に入れました。そこで悟は、竜を倒す剣こそが確かなものだと思い直します。(まるで「ねずみの嫁入り」のようです)

しかしその剣に今すぐ「つかまえた」とすることを悟はためらいます。剣(に化けていると思われるダレカ)と一緒に元の世界に戻ってしまうと、こちらの世界のかおりが(竜を倒す剣がないので)竜のいけにえになってしまうからです。

そこで悟は、竜を倒してから、そのあとで剣を「つかまえた」と言おうと決心します。

竜の館にたどり着いた悟とかおりは、会堂で食事をしているクラスメイトそっくりの少年少女を目にします。悟たち同様、「集まりのぎしき」によって、竜と対決するために呼ばれた子供たちです。彼らもまた剣を腰に下げています。しかし悟は、自分とかおり以外のそれが「普通の剣」であり「ないよりはましの希望」であるという情報を持っています。一方、他の者たちはおびえているふうでもなく、妙に取りすましています。悟たちを目だけで迎え入れる冷ややかな様子が印象的です。

「どうしてみんな、だまっているのかな。」

宏一は、まるで話しかけられることなどないものと思っていたように、おどろいて目をあげた。そして、ちょっと肩をすくめてこたえた。

「さあ、どうしてかな。」

とりすましたとも見える宏一のおちつきぶりが、悟にはふしぎだった。宏一だけではなかった。ほかの者も悟の知っているかれらより、ずっとおちついているように見える。もうじき竜のいけにえになろうかというのに、どうしてこんなにおちついていられるのだろう。

この謎は、このあと9章で解けることになります。それはこの物語における、一つ目のどんでん返しです。