「山びこ通信」2017年度春学期号より下記の記事を転載致します。
『新約ギリシャ語初級』
担当 担当 堀川 宏
このクラスでは『マタイによる福音書』を、Nestle-Aland版で毎回1ページほどのペースで読んでいます。このところ休講が続き、なかなか進度を保てなかったのですが、ようやく第12章の終わりに差しかかりました(6月初頭現在)。
先日は、パリサイ派からの非難を受けて、イエスが自身の主張を人々に語る場面を読みました。そこでイエスは「神の国はすでに到来している」と主張し、自身の行動は「神の霊」の力のもとになされていることだから、自身に従わない者は神に敵対することになると、人々に語りかけます。比喩的な語りが続き、必ずしも読みやすい箇所ではないのですが、強い口調で人々に選択を迫るイエスの語りが、同時に、テクストを読む我々にも選択を迫っているようにも感じられました——イエスの言葉がこのように、物語内での直接的な応答関係を越えて、テクストの読み手にまで迫ってくるという点に、『聖書』を読む醍醐味があるように思われます。
引き続き無理のないペースで、基本的な文法なども確認しながら進んでゆくつもりです。関心のある方は、ぜひ一度教室を覗いてみてください。