『数学が生まれる物語を読む(中高生)』(初回と2回目のガイダンス)

福西です。

先の記事の補足として、授業の初回と2回目について、事前にガイダンスしておきます。

初回は、授業の進め方を説明します。その後、「読者へのメッセージ」「月曜日 小さな数から大きな数まで」を読みます。その個所を予習として読んでおいてください。(レクチャーの準備は必要ありません)

今回は私が上記のテキスト内容についてレクチャーします。

 

また「月曜日 小さな数から大きな数まで」の最後に、ピタゴラスについて触れてあるので、『ピタゴラスと豆』(寺田寅彦)を読みます。続いて、「ピタゴラス音律」(分数を使ったアイデア)と現在のピアノに使われている「十二平均律」(無理数を使ったアイデア)とを紹介します。(幸い、生徒たちは音楽もされているので、興味を持ってもらえるかと思います)

参考:『名曲と科学のサロン(3)ピタゴラス音律』

この内容は次回以降、数回に渡るかもしれません。

弦を用意して、その長さを変えて実験ができればいいのですが、難しければPC上で、分数で計算した周波数の音源を作ってみましょう。

弦の長さに対して、「3/2」と「1/2」という分数の組み合わせが「心地よい音色」を生み出すことを発見したピタゴラス。我々も当時のピタゴラスになった気分で「発見」の追体験をしてみたいと思います。

 

2回目から、生徒たちにレクチャーしてもらいます。

「火曜日 自然数」では、ペアノの公理(「という構造を持つ集合を、以後自然数と呼ぶことにする」という話)がメインです。その書かれている内容についてレクチャーしてもらいます。

数を「集合」とみなすこと、それに対する「構造」という着眼点は、これまで学校では習わなかったアプローチなので、ある意味、新鮮だと思います。(ただし苦手意識になるといけないので、深入りはしません)

「先にどこまでも続いている」という認識、その認識を含んだ「指折りカウントする」という行為が、自然数であるということに目を瞠ることが、この回の目的です。

なお、テキストp22にあるペアノの公理のv)は、数学的帰納法そのものです。それが「自然数を構成する設計図に書かれている」ことは、どこか不思議なことでもあり、また自然数をより面白く感じさせる認識だと思います。

その延長で、「1+1=2、1+2=3の証明」といったトピックにも、もし生徒に興味があれば触れるかもしれません。ただし講師ばかりがしゃべってもいけないので(笑)、そのつど、生徒たちの方でも疑問を用意してください。

雪合戦のように、この玉を「ぶつけてやろう」という態度でせっせと疑問を用意しておいてくれると嬉しいです。

「月曜日」の内容からいきなり敷居が高くなるので、ここはじっくり、ゆっくり進もうと思います。そして十分な理解が得られてから、次の「水曜日 分数」へと進みます。