『かず』(1〜2年)『中学数学A』クラス便り(2017年2月)

「山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『かず』(1〜2年)『中学数学A』 

担当 吉川 弘晃

 昨年末、2015年の学習到達度調査(PISA)が公開され、日本の生徒の「読解力」の平均点が下がっていることが話題になりました。試験の点数、それも全体の平均値で国際競争を煽るという昨今の傾向にはやや行き過ぎた感があるものの、算数や社会、理科といった国語以外の科目でも結局、一番大事なのは「読む」力であることには変わりないでしょう。
 この問題に関連して特に話題になったのは以下の問題の正答率が4割を切ったことでした。
【問題】
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから一つ選びなさい。
Alexandraの愛称は(  )である
中学生の解答
(1)Alex 38%(2)Alexander 11%(3)男性12%(4)女性39%

(毎日新聞オンライン版2016年12月6日より引用、一部改変。下線は引用者による)

 以上の問題は早合点するとどうしても下線部にばかり目が行き、「Alexandraの愛称はAlexである」という知識があるかないかで考えてしまうかもしれません。しかし、英語の知識がない小学生でも、文章全体と「愛称」という言葉の意味が分かっていれば容易に解答することができます。
 前置きが長くなりましたが、算数の問題も日本語や数字といった「ことば」で書かれている以上、まずは問題をよく「読む」ことから始めねばなりません。勿論、四則計算をはじめとするドリル式学習は算数では欠かせませんが、どんなに複雑な計算ができても問題の意図を読み違えてしまえば0点です。
 「かず」クラスでは、簡単にできる計算問題よりも、ちゃんと文章を全部読んで一定時間頭を捻らねば分からないようなパズル形式の問題練習を重視しています。中学数学のクラスでも、答えが合っているかどうかよりも、問題に対して本当にそのやり方で適切なのか、もっと簡単な方法はないか、というような点を重視しています。つまり、両方のクラスで一貫して問題を「読む」訓練に比重を置いています。