「山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。
『かず』3〜4年
担当 福西 亮馬
前号の山びこ通信に、「割り算」という計算は、次に「分数」から「割合」へと発展し、解析的な量(「密度」や「確率」、「速度」や「微分」など)の下支えとなるので大事だというようなことを書きました。今学期はその「割り算」と、それをさらに下支えする「かけ算」とに取り組んでいます。またここでは割愛しますが、単元のバランスを考えて、棒グラフや三角定規の角度の問題にも触れました。
ところで、日本の人口は126,976,000人(総務省H28.8)で、その国土は約378,000km2(外務省)だそうです。そして人口を面積で割ると、人口の「密度」という概念になります。これは、
126,976,000÷378,000≒336人/km2
となります。この計算は5年生以降に習うので、まだまだ先の話ですが、電卓を使えば3年生でも可能です。(電卓の表示は小数への興味の入口です)。
さて、「人口=12,000万人」「面積=378,000km2」というデータ参照からは、それを記憶するという以上の理解は深まりません。これを「A=Aタイプの理解」と名付けましょう。一方、人口で面積を割り算し、「1km2=300人」という関係を導き出すことを、「A=Bタイプの理解」と呼びましょう。「A=Bタイプの理解」は分析の一種です。もちろん一つの分析量から分かることには限界があります。それでも、「A=Aタイプの理解」に一つ付け加わった部分があることは確かなので、それによって理解が一つ深くなったとは言えるでしょう。
また、棒グラフや体重計を読む時にも、割り算が出てきます。「1目盛りはいくらか?」ということは、目測ですぐ分かる時もあれば、分からない時もあります。そこで、「まあいいや」となって、次も偶然を頼みとするか。「さっきはどうして当たったのだろう?」と立ち止まって、割り算にたどり着くか。もちろん私が支持したいのは、後者の姿勢です。
以上のように、割り算を味方につけることは、深く考えるクセを培っているのだと思います。とはいえ、3~4年生にとって、割り算はまだ登場したばかりです。それは果たして敵か味方かも定まらない状況かもしれません。ぜひ、これからそれを一緒に知っていきましょう。