『イタリア語講読Ⅰ・Ⅱ』クラス便り(2017年2月)

「山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『イタリア語講読Ⅰ・Ⅱ』

担当 柱本元彦

今期に入ってから読みはじめたマッシモ・ミラの<コジ・ファン・トゥッテ論>は、二月はじめの現在、三分の二ほど終わりました。テクストにはもちろん楽譜も挿入されていて(具体的な演奏は登場せず、著者はすべてを楽譜から読み取るわけです)、講師のわたしはなかなかピンとこないのですが、ヴァイオリン弾きの受講生Nさんは「たしかに楽譜を見れば一目瞭然」と仰います。そういうわけでこれまで見飛ばしていた楽譜の内容を教わりつつ読み進めることができ、講師にとって非常に有意義な授業になりました。去年の夏からモーツァルトをテーマしていますが、たとえモーツァルトでなくても、<コジ>の後もしばらくは音楽に関するものを取りあげたいと考えています。それから、イタリア語講読は二月から初級クラス<イタリア語講読I>もスタートしました。受講生のお二人は一通り初級文法を修了されています。まだ開始したばかりですが、授業では鋭い質問がいくつも飛び出し、刺激的です。大学などで担当するイタリア語授業は、体系的に文法を習得するクラスか、もしくは文法自体にはあまり触れない講読クラスです。ちょうどこの中間にある初級講読は講師にとって新しい経験です。規則に習熟することと個々のケースがどこまで規則的であるのかを確認すること、そうして規則の限界を探るといった構えが伝わってくるようで、これからの展開が楽しみです。とりあえず初級文法を確認するため、学習用に編集された読み物からはじめましたが、すぐに実践に移りたいと思います。まずはタブッキの比較的容易な短編を読んでいく予定でいます。