「山びこ通信」2012/2月号より、ラテン語クラスの様子をお伝えします。(以下転載)
『ラテン語初級講読C 』(担当:前川裕)
このクラスでは、セネカ『ルキリウスヘの手紙(倫理書簡集)』を継続して読んでいます。今学期は第 41 書簡から読み進めています。長さや内容などを考慮しつつ、適宜書簡を選択して読んでいます。受講生はお二人です。授業では本文を読み訳をするというオーソドックスなスタイルです。初級講読ということで、文法事項を随時チェックしながら、知識を確認しています。書簡もかなりの量を読んできましたので、大分セネカのスタイルにも慣れてきました。これは前も出てきた、ということも感じながら、意見交換をしています。お二人とも京都市外から来られていますが、予習をされて山の学校まで通われています。
セネカの書簡集は、本当に手紙として送られたものではなく、書簡のスタイルでつくられた哲学論文だと考えられています。第 42 書簡では人間の性悪説と読みとれる部分も出てきました。そこでセネカは、人間の悪は普段は弱いものであるが、たまたま力を与えられた時には大胆に振る舞うものだといいます。今風に言えば「図に乗る」という感じに近いのかと思いました。人間の本質の洞察においても、優れた見解が見られる書簡です。
一回につき、ロウブのテキストで 16 行程度を 1 時間弱で読みます。80 分の授業時間ですと少し余りますが、そこではおまけの話をしています。古代ラテン語の写本や、ラテン語を巡る状況の解説をしたり、西洋古典に関する日本語書籍や洋書の紹介をしたりしています。書籍類については山の学校の蔵書としているものもあります。
次学期も引き続きセネカの予定です。初級講読は、初級文法修了程度(独学でも構いません)でご参加でき、参加者に合わせた進度で進めます。興味を持たれた方はぜひご連絡ください。(文責 前川 裕)