2017年4月から始まるクラスのご紹介です。
『東洋古典を読む』(対象:中学・高校生)
月曜18:40~20:00 講師:福西亮馬(予定)
小学生の頃から、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの戦国武将のエピソードが好きだった人は、世の中にはわりといると思います。今、『平家物語』の逆をならって、ひとたび本朝から中国大陸を眺めてみると、『三国志』がきらりと光って見えます。他にも『史記』や『十八史略』、『蒙求』など、ことわざや和歌にも影響を与え、日本文化に浸透しているようなエピソードをその中に垣間見ることができます。
このクラスでは、『完訳 三国志』(羅貫中、小川環樹ら訳、岩波文庫)(全8巻)を通読します。黄巾党の乱から晋の成立まで、全120回に分けられています。1回ずつが講釈のように切りのいいところ、いわゆる「引き」によって構成されており、次がまた気になるという面白さです。私がみなさんと共有したいのは、テキスト(日本語訳)を読んで、英雄たちを再びよみがえらせる時間です。血湧き肉踊るような感情体験であり、過去の人物に発奮することです。プルタルコスのカエサル伝によると、カエサルはアレクサンドロス大王の像を見て、「彼は今の自分と同じ頃には世界を征服していた。なのに自分は……」と涙したと言います。三国志の英雄たちの生き様もまた、それを愛好する人にとって、思いを同じくするところでしょう。
たとえば、正史(魏志)にある崔林は、「大器晩成」(の語源の一つ)として知られていますが、私は彼のことが大好きです。そのように「私はあの人が好き」「この人が好き」という人物を語ることは楽しいものでしょう。ただそれが単なる同好のよしみにとどまらず、同じテキストを突き合わせて、すなわち「ソースをしっかり読んで」、あれこれ話し合えば、また違った角度から興味を掘り起こせるでしょう。予備知識を総動員し、テキストに線をたくさん引きましょう。そして気に入った個所を写し取って愛蔵するなど、今から古典の味に親しみましょう。