「フランス語入門」(クラスだより2012.3)

 『フランス語入門』 (担当:武田宙也)

「フランス語入門」は、この冬から新たな受講者の方を迎えて再び開講されることになりました。さて、フランス語をゼロから始めようとされる方の多くが最初に戸惑うのは、その発音ではないでしょうか。というのも、フランス語では、日本人になじみのないさまざまな音を発音しなければならないのはもちろんのこと、綴りと発音の関係にまつわる規則(「この綴りはこのように発音する」というフランス語に特有のきまり)もとても多いからです。その結果、フランス語の単語の読み方は、いわゆる「ローマ字読み」とはたいへん異なったものとなります。もちろん英語の綴りと発音の関係もそれほど単純ではないとはいえ(ただこちらは、子どもの頃から親しんでいることもあって、日本人の多くにある程度なじみのあるものだと思います)、たとえばドイツ語やイタリア語と比べても、確かにフランス語の発音はやっかいなほうと言えるかもしれません。

さて、このように独特の発音を持つフランス語ですから、それをカタカナで表記することは(他の言語にもまして)困難を極めます。実際、日本語にカタカナ言葉として定着しているフランス語は意外に多いのですが、その中には原語とかけ離れた発音になっているものも少なくありません(たとえば「オードブル」や「ミルフィーユ」など)。外国語の発音練習におけるカタカナ表記とは、いわば自転車の乗車訓練における「補助輪」のようなものかもしれませんが、ことフランス語発音の「乗車訓練」に関しては、補助輪をつけずにいきなり全力疾走してみることが、(多少のケガはあったとしても)かえって上達の近道になるのではないでしょうか。

(文責 武田宙也)