「山びこ通信」2016年度秋学期号より下記の記事を転載致します。
『かず』(1〜2年)『中学数学A』
担当 吉川 弘晃
秋学期のかずクラスは、小学1年生と2年生が2人ずつの構成です。今学期の第一の目標は、学校で習った基本的な計算を文章題の形でも解けるようになることです。
足し算や引き算の割と高度な計算ができても、それが文章化されると躓いてしまう生徒さんも少なくありません。しかし、小学校の算数教育は、実際に社会で生活するための実用上の学でもあり、社会生活は言葉を用いて営まれます。従って、「文章題」までこなせてはじめて算数の力が身に付いたといえるでしょう。
文章題の解説では、スーパーマーケットの商品を例に挙げることが多いのですが、一番の近道は実際に自分自身で買い物をしてみることです。1リットルの牛乳、300グラムの豚肉、1袋200円の人参、50メートルのトイレットペーパー…。スーパーに実際に行って、それらの商品を一瞥し、触れて、重さを感じ、レジに持っていってお金を払ってみる。これだけで、学校で習った単位やお金という知識を自分の身体を使って学びなおすことができます。さらに、商品はどこから来たのか、なぜこの値段なのか、なぜこの重さなのか、といった問題意識までつなげられれば、社会や理科の話にもつながるでしょう。
中学数学のクラスには新たに1年生の生徒さんが加わりました。中学1年は、小学校の算数から中学校の数学へと橋渡しをする重要な時期です。複雑な計算処理をできる限り大量かつ正確に行うことは言うまでもありませんが、算数では「答えを求める」力だけで良かったのに対して、数学ではそれに加えて「問題を作る」力が問われてきます。中学1年では与えられた具体的な条件を文字や式にする訓練が後者の力に相当しますが、個々で重要なのは自分が用いる文字や式の意味をちゃんと理解しているかどうかです。後々、自分の解法の矛盾点をチェックできるように式を丁寧にノートに書くよう、授業では指導しています。