今日の授業のメモです。
第8歌の61-84 を読みました。あと一回で読み切ることが出来そうですが、来週は「ラテン語の夕べ」があり、年内の授業はこれが最終となります。
8.61-84
Desine Maenalios, iam desine, tibia, uersus.” 61
やめよ、マエナルスの歌を、もうやめよ、笛よ。
Haec Damon. Vos, quae responderit Alphesiboeus,
ducite, Pierides: non omnia possumus omnes.
“Effer aquam, et molli cinge haec altaria uitta,
uerbenasque adole pinguis et mascula tura, 65
coniugis ut magicis sanos auertere sacris
experiar sensus: nihil hic nisi carmina desunt.
Ducite ab urbe domum, mea carmina, ducite Daphnim.
ダーモーンは以上のように(haec)歌った。汝ら、ピーエリアに住む女神らよ、アルペシボエウスが返答した歌を教えよ。我々のすべてはすべてのことを行うことはできない。
アルペシボエウス
水を持ってきなさい。この祭壇を (haec altaria) 柔らかい (molli) リボンで (uitta) 巻きなさい (cinge)。水分の多い(or 繁茂した)若枝と「男の(mascula)」乳香を(tura)燃やしなさい(adole)。
(※mascula tura については、「特殊な香の種類」と注釈にありましたが、mascula を「勢いのよい」ととると、これを副詞的にみなし、「香を勢いよく燃やしなさい」と訳すことができます。)
夫の正常な感覚を(sanos…sensus)神聖な魔法によって (magicis…sacris) 乱すことを試みる。ここには(hic)呪文(carmina)以外(nisi)何も欠けるものはない(nihil…desunt)。
Ducite ab urbe domum, mea carmina, ducite Daphnim.
町から家に、わが呪文よ、導きたまえ、ダプニスを。
Carmina uel caelo possunt deducere lunam;
caminibus Circe socios mutauit Vlixi; 70
frigidus in pratis cantando rumpitur anguis.
歌は月を天から引き降ろすことができる。
歌によってキルケーは、ウリクセース(オデュッセウス)の仲間たちの姿を変えた。70 牧場では(in pratis)冷たい蛇も(frigidus…anguis)、歌うことによって(cantando)引きさかれる(rumpitur)。
Ducite ab urbe domum, mea carmina, ducite Daphnim.
町から家に、わが呪文よ、導きたまえ、ダプニスを。
Terna tibi haec primum triplici diuersa colore
licia circumdo, terque haec altaria circum
effigiem duco: numero deus impare gaudet. 75
三つの色で(triplici…colore:※白、赤、黒)多様な(diuersa)これらの(haec) 三重の(terna) 糸(licia)を、私はまず(primum)お前に(※ダプニスの人形を指す)巻きつける(tibi…circumdo)。この祭壇の周りを(haec altaria circum)三回 (terque)、
(お前の)似姿を(effigiem)導く(duco)。神は(deus)等しくない(impare)数(※奇数)を(numero)喜ぶ。75
Ducite ab urbe domum, mea carmina, ducite Daphnim.
町から家に、わが呪文よ、導きたまえ、ダプニスを。
Necte tribus nodis ternos, Amarylli, colores;
necte, Amarylli, modo et “Veneris” dic “uincula necto”.
結べ(necte)三つの結び目で(tribus nodis)、アマリュッリス(※魔法を用いる女の下女)よ、三つの色を (ternos…colores)。
結べ、アマリュッリスよ、そして(et)ただ(modo)「ウェヌスの (Veneris) 縛めを (uincula) 私は結ぶ (necto)」と唱えよ(dic)。
Ducite ab urbe domum, mea carmina, ducite Daphnim.
町から(ab urbe)家に(domum)、わが歌よ(mea carmina)ダプニスを(Daphnim)連れてこい(ducite)。
Limus ut hic durescit, et haec ut cera liquescit 80
uno eodemque igni, sic nostro Daphnis amore.
この(hic)粘土が(limus)固くなり(durescit)、そして (et)この (haec) 蝋が(cera)、一つの(uno)同じ(eodemque)炎で(igni)溶ける(liquescit)ように(ut)、それと同様に(sic)ダプニスは(Daphnis)私の愛によって(nostro…amore)(固くなったり溶けたりする)。
Sparge molam et fragilis incende bitumine laurus.
Daphnis me malus urit; ego hanc in Daphnide laurum.
あらびきの麦を(molam)撒け(sparge)、そして (et) パチパチ音を立てる(fragilis)月桂樹を(laurus)瀝青で(bitumine)燃やせ(indence)。悪い(malus)ダプニスは(Daphnis)私を焦がす (me….urit)。私は(ego)この月桂樹を (hanc…laurum)、ダプニスの中で(燃やそう)。
Ducite ab urbe domum, mea carmina, ducite Daphnim.
町から家に、わが呪文よ、導きたまえ、ダプニスを。
連れて来い。街から家に、我が歌よ、
ダフニスを連れて来い。
同じ一つの炎でも、この粘土のように、
硬くもなれば、この蠟のよに、
柔らかくもなる、(それと同じように)
私の(同じ)愛でもダフニスは
(心を様々に変えるものなのだ)。
挽き割りの麦(おそなえ)を撒け。そして
よく爆(は)ぜる月桂樹の枝(えだ) を
瀝青(タール)を用いて燃やしなさい。
あの悪い男(ダフニス)は私を(恋の炎)で焼くけれど、
私もこの人形(ダフニス)にこの月桂樹を
焼(く)べ、燃やしてあげますわ。
牧歌Ⅷ, 79-82
以上、山下先生の訳を参考に自分なりに考え訳してみました。
ところでここで言うego(私)は本当に女性なのでしょうか?河津先生の本にはそう書いてありましたので、そんな感じに訳しましたが、もし男だとしたら全然変わってしまいます。この辺が日本語の厄介なところだと思います。
山下です。
素晴らしい訳をありがとうございます。
日本語訳の難しい点はお書きの通りだと思います。
egoは絶対に女性と言い切れないようにも思いますが、詳しく調べていないので自信はありません。