福西です。
先週、先々週と定期試験の対策をし、その答案が返って来たので、この日はそれぞれの問題を復習し、次の克服課題を検討しました。
Yta君は、連立方程式と一次関数の分野でした。以下の部分がよくできていました。
1)連立方程式の計算
2)連立方程式の文章題
3)一次関数のグラフの描写
4)語彙の穴埋め問題(一次関数についての説明文)
上記の部分だけを見れば、ほとんど丸で、100点に近いできでした。全問正解の設問もありました。それは実際の点数や平均点とは別次元であることとして、称揚しました。
1)は、国語で言えば漢字の設問が、英語で言えば単語の設問がほとんど丸だったことに当たります。Yta君の数学に対するモティベーションの高さがそこに表れていました。移項、分母を払った時、かっこを外した時、符号の処理など、自分が以前ミスしていた箇所には特に目を配り、何度もこつこつと練習した努力が今実りつつあるのだと思います。
2)は、Yta君自身、手応えがあったようでした。「完全解答できた」ことを自己申告していました。
「『連立方程式の応用』で、%の出てくる文章題をください」と言い、自分で自分にメニューを課していたことの甲斐があったのだと思います。あたかもバスケットの自主練習のようです。その手応えは、今回、何にも代えがたいものとして光っていました。
3)、4)にも、Yta君の実直さが垣間見られました。
また、いつものように50分という試験時間で、最後まで答案を埋めている点についても、その調子だと励ましました。1年生の後半あたりからそうなってきているので、どこかで、時間配分についての意識的な変化があったのだと見受けます。これもバスケの試合に例えると、フルセット動き続けたという実感があると思います。
Yta君の学習上の美点は、「できているところと、できていないところとの、切り分けがきれいで、何をすべきかが見て取りやすい」点です。そして「前にできていたが、今はできなくなったということが少ない」ということです。
Yta君の努力を陰ながら見る者として、私は、「そこだけを見れば、できている。それも、いつでも」ということを、何度も強調したいと思います。
ここでは、「そこだけ」という言葉を、積極的な意味で使っています。それはちょうど、一本一本のシュートの時における「集中の度合い」のようなものです。
彼の場合は、試験で丸を取ったどれもが、「偶然入ったのではなくで、狙って外さなかったシュート」ばかりです。その割合の高さが、すごいことだと思います。その時の「入った!」という実感が、彼の後々の自信につながっています。
以上の「できていること」を確認した後、授業では、知識としてまだ頭に入っていなかった箇所を見直しました。
A)一次関数の「定義域→値域」、「値域→定義域」、「定義域と値域→一次関数の傾き」の求め方
B)数え上げの問題
A)では、「座標平面を描くこと」が、その「手始め」に当たります。
十字に矢印を引く、ただそれだけのことが、重要です。
しかし実際に座標平面を描こうとして手を動かしている生徒を、私はなかなか見かけません。逆にそれを無意識にできるようになれば、アドバンテージになります。ぜひ慣れてほしいと思います。この作業は、他の一次関数の問題で言えば、「まず紙にy=ax+bと書くこと」にあたります。頭の中から紙の上に取り出さないと、抜け落ちやすいです。
座標平面を描く
↓
定義域をx軸に、値域をy軸に図示する
↓
矢印に対応する長方形(二次元)を座標平面からくりぬく
↓
その長方形に2つ引ける対角線のうち、どちらかが求めるべき一次関数。傾きは、(長方形の)縦/横で求められる。もちろん下がっている方の傾きはマイナス。
これで解けます。水道タンクの問題で何回か練習しました。
Sちゃんもこれと同じ問題に引っかかっていたので、同じことを復習しました。
B)では、「n=1、n=2、n=3の場合で、実際に手を動かして数えること」、これがこの問題の「手始め」です。
Yta君と見たのは、「縦x、横yの長方形を、あるパターンで敷き詰めていく。n番目の外周の長さはいくらか?」というような問題でした。
n=1など調べても通用しなさそうですが、そうではありません。むしろ重要です。
複雑に見えるからこそ、特殊からスタートするのです。
そして「手始め」の作業が何かを知れば、おのずと解ける問題であることに納得してもらい、自信を持ってもらいました。そして、「今できたこと」を家でももう一度できるか、解き直してもらうように促しました。
「できた」ことの確認と、「次出会ったら、できそうだ」ということの後押し。この二つのステップが、Yta君にも、Sちゃんにも、Ywa君にも大事だと思います。自分の足場さえ得れば、あとは自分でジャンプできる人たちばかりです。