岸本です。
今日は、ドイツの統一と、アメリカの発展と南北戦争を考えていきました。
ドイツの統一では、統一後の内政外交をけん引したビスマルクに、話が集中しました。
ビスマルクは、軍備拡張を目指す鉄血政策や、カトリックや社会主義者との対立で知られ、苛斂誅求なイメージがありますが、他方で、保護関税政策でドイツの工業を発展させ、保険制度を整備するとともに、外交においては列強との諸関係を築き、新しいヨーロッパの秩序を形成・維持したのも彼の主導によるものだったと考えられています。
ビスマルクが先見の明を持った有能な統治者であったことは間違いないでしょうが、その活動には功罪が同居していたと考えなければなりません。
他方、アメリカの発展でも、そのような功罪相半ばする状況が見られました。
アメリカでは、大統領選挙などを通して、民主主義が進展しました。
特に西部出身のジャクソンの下では、選挙権が「白人」男性のアメリカ国民に与えられたましたが、その裏では先住民たちが西部への移住を強制されたのです。
40年代以降は新たに獲得した西部への開拓が、「マニフェスト・デスティニー」という一方的な信念のもとで、推し進められました。
それは、西部への民主主義の拡大に寄与した一方で、同時に先住民の圧迫と彼らの抵抗を引き起こしたのです。
上記の事例を確認しながら、一つの歴史的出来事には光と影の部分があることが、生徒さんもわかってくれたと思います。
19世紀のドイツとアメリカの歴史を議論しながらも、年金や教育といった日本の現状の諸問題にも当てはまる部分があるのではないかと、私は考えています。
冷静になって考えられること、これは歴史だからやりやすいことではないでしょうか。
来週は、南北戦争の後のアメリカと、欧米の帝国主義を見ていければと思います。
>冷静になって考えられること、これは歴史だからやりやすいことではないでしょうか。
先生のエントリーを拝読し、歴史は今を照らす鏡の意義をもつとあらためて感じる次第です。