「山びこ通信」2016年度春学期号より下記の記事を転載致します。
『中学英語』(2年)『中学英語』(3年)
担当 吉川弘晃
中学2年のクラスは、去年からの持ち上がりの生徒さんに加えて、受講生が1人加わって2人になりました。学びにとって過度な競争原理は害になりますが、共に学ぶ者をもつことは他方で適度な緊張感をもたらし、学習効果を高めることになるでしょう。事実、中学2年は動詞の不規則変化や重要な熟語をしっかりと暗記する必要があるため、毎週の小テストを欠かさずに行っていますが、2人ともしっかりとついてきています。
しかし、のんびりしている暇はありません。中間考査が終われば助動詞に不定詞、動名詞、比較・・・と身につけるべき事項は数多く待ち構えています。ここで重要なのは、各事項について一番大事な点に立ち返って何度も考えられるようになることです。「現在形とは何を示すか?」「現在形や過去形と進行形の時間感覚はどこが異なるのか?」要点を押さえたら、あとは練習あるのみです。読み書きのドリル演習や、イソップ寓話のテキストを用いた毎回の音読練習はその一環です。
中学3年の方は、長文読解を主とするクラスですが、半年以上に渡った『ブレイヴ・ハート』(Penguin Readers,1999.)の講読がようやく終わりました。テキストは現地の中学生向けのレベルで書かれたものですが、関係代名詞や分詞のオンパレードに加え、分詞構文や関係副詞といった高校範囲に含まれる文法も時々出てきたため、その都度、解説を行いつつ、一文一文丁寧に読んでいくこと(音読と訳読)を心がけました。学校の学習だけでは英文での読書量は不足しがちですが、一冊を読みきるということは確実な自信につながることでしょう。
英文から歴史を学ぶことも忘れておりません。以前のテキストは、アーサー王というイングランドの英雄を扱ったのに対して、今回はウィリアム・ウォレスというスコットランドの英雄を扱いました。両者を含め、古今東西の英雄は大概、悲劇的な最期を迎え、それ故に英雄は集合的な記憶となり、その地で生きる人々に勇気と希望を与えます。それが穏健な愛郷心につながるにせよ、排他的な民族主義の種になるにせよ、神話の英雄は今もなお、世界中の人々の心に生きているのです。授業では歴史的背景を補足で説明しながら、国家だけでなく、地方や階級、集団といった様々な視点から人間社会について考えていきました。