「山びこ通信」2016年度春学期号より下記の記事を転載致します。
『かず』(2~3年)
担当 福西亮馬
授業の前半は個々で考えるプリントをし、後半はクラスみんなで考えるゲームをしています。
プリントには二種類あります。一つは計算や文章題、もう一つはパズルです。先取りはあまりせずに、復習寄りのことをしています。ただし、強調しておいた方がよい数学的な内容については、先を見据えて重点的にすることがあります(たとえば九九だと二乗の数、長さ比べだと三角形の二辺の和が他の一辺よりも長いことなど)。
パズルでは、ねばり強さと論理性とを積み重ねています。パズルが解けた時の達成感は、考えることそれ自体を楽しむことにプラスになります。感覚的に解けることから次第に論理的に解けることが面白くなるような移行を図っています。
後半のゲームでは、『石取りゲーム』をしたことがありました。21個の石を用意して、1~3個ずつ取り合い、最後の石を取った方が負け、というのがルールです。これには必勝パターンがあります。それについて考えてもらいました。以下はその解答です。
「最後の石を相手に取らせるためには、1ターン前の状況では『場の石を何個にすればいいか』」というように考えます。それは5個です。なぜなら、場の5個から相手が1個取ればこちらは3個取ればよく、2個取れば2個、3個取れば1個取って、いずれも相手が次に1個取る状況にできるからです。同様に、場を5個にするためにはその前のターンで9個にしておけばいいことになります。そうして、1、5、9、13、17、21という数列が見えてきます。つまりこのゲームでは先手(場の石が21個で自分の番という状況)を選んだ時点で「負け」になります。
すると、2年生の生徒が1+4+4+4+4……と、一生懸命足し算を始めました。そして「もうすぐ100を超える」といった報告が嬉しくなって、えんえんと先を続けていました。石の総数がどんな場合でも、「見たら勝てる表」を作ろうと考えたのでしょう。その計算の熱心さに私も驚かされました。3年生は、すかさずかけ算を使うことを思いつき、41、81、121とあっという間に計算を進めていました。この場合はどちらがいいというわけではなく、それぞれに自分のやりがいを持っていました。現に最初の2年生は、一の位に3、7、1、5が繰り返していることに気付いて、「おー、なーるほど」と目を光らせていました。
こうした見守りも、勉強を好きになってもらうには大事なことだと考えます。